
はじめに
大学の役割としては教育、臨床(手術)、および研究があげられますが、当科としては教育研修に最も重点をおいています。卒前教育は、トレーニングセンターをたちあげ、早くから手術手技の体験学習を行っております。卒後教育の初期研修は卒後臨床研修センターにおいて、島根大学と関連病院によるプログラムを実施しております。当科の後期研修プログラムは次項を参照してください。このプログラムに加えて、当科では島根県の現況や問題点を考慮して、以下のような特色ある研修を行っています。
1.地域連携型外科医養成プロジェクト
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外科医を養成するためには、大学と基幹病院の連携が重要でありますが、実際には多くの問題を抱えているため、十分に連携がされていないのが現状であります。我々は卒後研修を効率よく行うためには、大学、基幹病院および地方自治体が一致協力した地域密着型の養成プランが必要であると考え、図1のようなプロジェクトを平成19年度より開始しています。すなわち、島根大学が研修全体を統括し、症例数の多い島根県立中央病院と松江赤十字病院を中心とした連携病院を研修医が循環することにより、効率良く安心して研修が受けられるシステムであります。また、自治体(島根県)の支援が得られていますので、島根県全体としての他の基幹病院との連携がスムースに行える利点があります。外科研修における経時的な流れと役割は図2, 3のごとくであります。内視鏡手術トレーニングセンターを活用することにより、外科系の卒前教育を充実させています。初期研修が終了したのち、通常の研修(後期研修プログラム参照)に加えて、消化器外科データバンクの活用と腫瘍センターとの連携により効率的な研修を行っています。最終的には、卒業後数年で、各種の専門医や学位の取得が可能であります。 |
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図1
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図2
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図3
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2.高齢化の問題
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島根県は東西に約200kmと広く、人口は約70万人で鳥取県についで2番目に少ない県であります。人口の大部分は松江・出雲地区に集中しているため、他地域の過疎化は特に深刻な問題であります。また、島根県の高齢化率(65歳以上の人口の比率)は10年以上前から日本一であり、すでに28%となっています。この数字は、2030年の全国的平均の予測値(28.7%)を20年以上も先行していることになります(図4)。したがって、島根県においては、各基幹病院の外科治療レベルの確保、および高齢者における手術の安全性が重要な問題であります。我々はすでに、複数の連携病院において消化器外科手術の共通データベースを構築し(図5)、手術成績の向上、安全性の確保、治療レベルの均てん化をはかっています。島根DBGSの項へリンク |
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図4
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図5
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3.悪性腫瘍による死亡率が高い
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都道府県別にみた悪性腫瘍による死亡率(人口10万人あたり)は秋田県についで島根県は第2位であり、膵がんに限れば第1位となっています(図6)。悪性腫瘍の中で消化器がんが占める割合は高く、当科ではその中でも、高度先進医療、集学的治療が必要である肝胆膵がん、食道がんに重点をおいて治療を行っています。現在、膵がんや胆道がんに対しては、腫瘍センターの主導のもとに(Cancer Board)外科的切除、放射線治療、化学療法を組合わせた集学的治療を行っています(図7, 8)。消化器外科専門医のみならず、がん化学療法専門医なども取得可能なプログラムです。膵がんの集学的治療の項へリンク |
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図6
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図7
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図8
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4.低侵襲性手術と手術の安全性
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内視鏡外科はがんの手術においても急速に普及しています。当科においても鏡視下手術数は図9のごとく年々増加しており、手術の約1/3を占めるようになってきています。相次ぐ医療事故の発生などもあり、外科医にとって鏡視下手術の手技を習得することは、現在では必須条件となっています。鏡視下手術は3次元の術野を2次元のモニターに映し出して行う手技であるので、基本的操作の慣れが最も重要であります。すなわち、最も効率よい教育方法は、シュミレーター(図10)などを用いて早期より学習することであります。当科ではすでにトレーニングセンターをたちあげ(図11)、学生の臨床実習にとりいれています。内視鏡手術トレーニングセンターの項へリンク |
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図9
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図10
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図11
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