島根大学医学部 消化器・総合外科

診療案内−診療実績−

Diagnosis and treatment guide

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(1) 食道癌
食道癌に関しては、山陰では最も多くの症例を扱っており、国内はもちろん世界的にみても治療成績は良好です。また、鏡視下手術は山陰で唯一専門的に行っており、現在では進行癌まで適応を拡大し、内視鏡下手術の割合が急増しています。これまで食道癌治療例数は410例と、山陰ではもっとも多く治療しています。
1)食道癌患者の治療方針の決定は、外科だけでなく腫瘍科、消化器内科、放射線治療科と合同カンファレンスを開催して決めています。
2)胸部食道癌には、頚部・胸部・腹部の3領域リンパ節郭清を標準術式としています。比較的早期の食道癌には内視鏡下食道切除・再建術を積極的に採用しています。
3)臨床病期II、III期では、術前あるいは術後補助化学療法を行っています。
4)切除率は約8割で、根治切除率は約6〜7割です。食道癌は、根治切除がなされても進行癌が多く、術前や術後に補助療法(放射線療法や化学療法)を加えています。
5)食道癌治療後の、全例の5年生存率は30〜35%です。しかし、最近では治療成績が向上し、切除例では5年生存率は約40%、根治切除例では47%と約半数が治るようになりました。具体的には、進行度Iの術後5年生存率は63%、無再発生存率(図1)は94%と良好です。進行度IIではそれぞれ55%、75%であり、進行度IIIではそれぞれ26%、43%であり、これらの治療成績は、日本はもちろんのこと世界的にみても良好です。

担当者:平原 典幸

(2) 胃 癌
 胃癌に関しては、現在まで2000例を越える治療実績があります。最近では、内視鏡下手術を積極的に導入しており、術後の生活の質が向上しています。 内視鏡下手術は当初は早期癌のみに施行していましたが、現在では適応を拡げており、最近では約半数に行っています。胃癌全体の累積5年生存率は約60〜65%です。進行癌の場合、術前や術後に補助療法(抗癌剤療法、放射線療法など)を追加しています。胃癌の進行度別の無再発生存率と全体の生存率に示します(図2)。無再発生存率では、進行度IAでは100%の10年無再発生存率で、再発はありません。 進行度IIIAの5年無再発生存率でも58.1%と良好であり、日本の他施設と比べても遜色ありません。全体の生存率では、進行度IAでは89%の5年生存率で、進行度IIIAの5年生存率でも47.6%と良好です。

担当者:平原典幸

(3) 大腸・直腸癌
 大腸癌治療に関しては、現在まで900例以上の治療を行っています。
1)手術症例の5年生存率は病期(Dukes)A 89.2%、B 83.5%、C 61.9%、D 9.6%であります。手術については、QOLを考慮した腹腔鏡補助下手術の症例数が増えてきています。
2)直腸癌に対する手術においては、術後、排尿・排便機能や性機能障害などのQOLの低下を最小限に抑えるため、自律神経温存術式を行っています。また特に下部直腸の進行癌に対しては、術前に放射線化学療法を行っています。
3)肝転移や肺転移を伴う症例に対しても、治癒切除可能と考えられる症例に対しては、転移巣を含めて積極的に切除を行っています。また、症例に応じて、肝動注化学療法やラジオ波などによる治療を行っています。
4)治癒切除術のうち、病期(Dukes)Cの方や、病期Bのうち再発の危険度が高い症例に対しては経口抗癌剤(ホリナート・テガフール・ウラシル療法)などによる補助化学療法をおすすめしています。治癒切除が困難な症例や再発を認めた症例に対しては、オキサリプラチンやCPT-11などを用いたFOLFOX療法(mFOLFOX6、FOLFOX4)、FOLFIRI療法を行っています。
5)最近ではさらにベバシズマブ(アバスチン)など分子標的抗癌剤を用いた治療法を行っています。化学療法については、病状、QOL、家庭環境などを考慮し、相談の上治療法を決定しています。また、外来化学療法室とも連係し、できるだけ外来通院で治療ができるようにしています。
6)大腸癌以外にもクローン病や潰瘍性大腸炎などの炎症性腸疾患に対する外科的治療や、痔核・痔瘻・裂肛・直腸脱など種々の肛門部良性疾患に対する治療にも積極的に取り組んでいます。このうち内痔核に対しては結紮・切除法、PPH法で対応しております。また痔瘻については、クローン病に合併する症例や深部の複雑な症例に対しては、シートン法を積極的に用いて治療を行っています。

担当者:山本 徹


図1 図2 図3