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1) 卒前教育
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3) 教育に関する研究

研究概要
1) 肥満関連疾患の疫学
2) 機能性食品開発
3) 島根スタディ
4)
がんの分子生物学・細胞遺伝学的研究
5) 新規FISH技術の開発と応用
6)
高齢者介護サービスの追跡研究
7) 産業保健
8) 健康なまちづくり
9) 臨床医動物学

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 研究概要


1)肥満関連疾患の疫学

内臓肥満、メタボリックシンドローム、2型糖尿病の発生機序を、生活習慣と遺伝子多型の両面から研究を進めている。

a)肥満関連疾患の分子疫学(山崎、楊、王、Mutombo)
 内臓肥満やメタボリックシンドロームへの遺伝子多型の影響では主に脂肪細胞で発現している蛋白質について解析した。これまでに解析した遺伝子多型の中で、b3-アドレナリン受容体遺伝子多型は、断面並びにコホート研究では肥満発現に影響していなかったが、介入試験では体重減少に影響することを報告した。
肥満およびインスリン抵抗性の遺伝子多型を、疫学の様々な方法(断面、コホート、介入)で体系的に解析を進めている。

b)肥満関連疾患の民族比較研究(乃木、山崎)
 遺伝子多型が近似し。生活習慣の異なるモンゴル人、中国人、韓国人、日本人について2001年からメタボリックシンドロームの民族比較調査をしている。
 モンゴル人は白人並みの高度な肥満を示しますが、インスリン抵抗性や高中性脂肪血症は著しくない。ところが、日本人や韓国人の肥満は軽度であるが、インスリン抵抗性や高中性脂肪血症は顕著である。日本人が軽度の肥満度にもかかわらず、メタボリックシンドロームや糖尿病の多い原因として、肥満関連遺伝子多型による内臓脂肪蓄積のしやすさ、膵臓β細胞からのインスリン低分泌能力という日本人の遺伝的な特質によるとの説が一般的に信じられている。しかし、私達の研究では、日本人と遺伝的な背景が類似したモンゴル人が、白人なみの内臓肥満であるにも関わらず、高中性脂肪血症やインスリン抵抗性は多くないことは、内臓脂肪蓄積のしやすさをアジア人の肥満関連遺伝子多型やインスリン低分泌能力だけで説明することは困難と考えられる。WHOによる肥満と糖尿病の報告でも、国別に見ると肥満が多い国で糖尿病が多いとは言えない。
 身体活動の不足によって明らかになった日本型食生活(炭水化物・魚・野菜の多食)の利点と問題点を明らかにし、現代人に適した健康な生活習慣を提案したいと考え、研究を進めている。

c) 肥満関連疾患の教育介入試験(岩本、池西、乃木、王)
 2008年4月からメタボリックシンドロームの予防を主目的にした特定健康診断・保健指導が始まった。私達は、2000年から肥満関連疾患の教育介入試験を行っている。
 2006年の流行語大賞にメタボリックシンドロームが選ばれ、保健医療関係者のみならず、国民が内臓肥満やメタボリックシンドロームへの関心を高めた。若年男性で内臓肥満およびメタボリックシンドロームが増加しており、今後この年齢層からの2型糖尿病や心血管疾患の増加が危惧される。この意味からは、時代を先取りした健康政策との評価ができよう。2000‐2006年に教育介入による3カ月間の肥満改善プログラムを修了した358人(男性91人、女性267人)では、3カ月間で体重を1.7 kg (介入前値比3%)、ウエスト周囲径を2.4 cm (3%)減少した。平均体重減少量4.4 kgの群では、総コレステロール、HDLコレステロール、中性脂肪、血糖、インスリン、HOMA-IR が有意に改善していた。このことから、メタボリックシンドロームの保健指導での肥満指標としては代謝指標の改善をより反映することから体重がウエスト周囲径や体脂肪率よりも優れていた。また、3カ月間に体重3-7%の減少で、肥満関連代謝異常に顕著な改善が認められることが明らかになった。
 しかし、メタボリックシンドロームの病態解明は始まったところであり、世界的には内臓肥満よりもインスリン抵抗性をコア病変として考える研究者が多いことから、日本人での病態解明が期待される。このため、教育介入による体組成変化と代謝異常(特に、インスリンの分泌と抵抗性)の改善についての解析を進めている。


2)機能性食品開発(山崎、王)

 食品には、栄養素としての働き(第一次機能)、人間の五感に訴える働き(第二次機能)のほかに加えて、人間の健康、身体能力、心理状態に好ましい影響を与える働き(第三次機能)がある。食品の第三次機能を科学的に明らかにし、これらの生体調節機能を十分に発現できるよう設計・加工された食品の開発をめざしている。
 韓国人(総熱量摂取の62%が炭水化物)や日本人(同57%)が他民族より多くの炭水化物を摂取していることから、高Glycemic index食である白米や麺類の多食が、高中性脂肪血症やインスリン抵抗性に寄与している可能性があると考え、ヒトとマウスでの高炭水化物食の研究を行っている。米を主食とし、海山からのバランスの取れた副食が「日本型食生活」の特徴であり、日本人の長寿と低死亡率を支えてきた。欧米の高脂肪食は、肥満、糖尿病、虚血性心疾患を増加させると信じられてきたが、アメリカでは脂肪の摂取割合が減少し続けているにかかわらず、肥満、糖尿病、虚血性心疾患は増加している。
 このため、現代人の肥満や糖尿病増加の主原因は、モータリゼーションや職場・家庭での機械化による身体活動の著しく減少にあると考えている。そして、身体活動の低下した現代日本人には白米や麺類の摂取が食後高血糖を持続させており、「欧米食」も「日本型食生活」も見直しを迫られているのではないかと考え、研究を進めている。
 また、島年産業技術センターや当大学皮膚科学(森田栄伸教授)と共同で、抗酸化昨日食品や低アレルゲン小麦の開発を行っている。


3)島根スタディ(生活習慣病多目的コホート研究)(山崎、岩本、池西)

 2005-7年に実施された島根大学重点研究プロジェクト「中山間地域における住民福祉の向上のための地域マネジメントシステムの向上(中山間健康福祉研究)」を発展させ、2008年より文部科学省特別教育研究経費および島根大学プロジェクト研究推進機構の支援を受け、並河 徹教授(病態病理学)をリーダーに「住民参加による生活習慣病の予知予防研究ネットワークの構築」プロジェクトを開始した。参加住民の同意に基づいて、遺伝と生活習慣、社会環境の調査を行い、その相互関係を明らかにする。
 2009年には、島根難病研究所等と共同で、島根大学疾病予知予防研究拠点(仮称)を設立し、「予防診療部門」、「検査・解析部門」、「疫学部門」、「疾病予防教育部門」を設置する。「予防診療部門」は、NPO法人および自治体と連携して、メタボリックシンドロームや糖尿病などの教育介入研究、特定保健指導をおこなう。また、機能性食品開発の地域コンソーシアムに参画し、参加組織間の調整をおこなう。「検査・解析部門」は、生活習慣病の予知に有用な遺伝子多型探索、血液生化学的検査項目の開発、測定、評価などを行う。「疫学部門」は、自治体等と連携して健康調査の立案、実施、データ解析、管理を行う。また、この部門には人文社会科学系研究者が参画し、社会環境、生き甲斐の面の研究を行う。疫学部門には専任教員を置く。「疾病予防教育部門」は大学院生、学部学生(全学部対象)に対する疾病予防教育を担当するとともに、住民に対する啓発活動、教育活動を担当する。「疫学部門」の専任教員を除き、各教員は兼任とする。
 地域特性を考慮して島根県内で5千人規模のフィールドを設定し、生活習慣病の発症、死亡、要介護認定状況などを10年間追跡する。現在までに、雲南市掛合町・三刀屋町でベースライン調査を完了し、2008年には出雲市佐田町、2008年度に石見地区、2009年度に隠岐地区でベースライン調査を行う予定である。
 さらに、日本農村医学会コホート研究、東アジアでのコホート研究にも協力している。


4)がんの分子生物学・細胞遺伝学的研究

a) がんにおける染色体・ゲノム構造異常の解析
 spectral karyotyping (SKY) 法を用いて、骨髄異形成症候群(MDS)を含めた白血病や悪性リンパ腫の染色体異常を多数解析し、従来のGバンド法では同定困難であった新規の染色体転座や遺伝子増幅等を次々と明らかにした。現在、横紋筋肉腫を中心に、固形腫瘍において病態に関連した染色体異常の同定を目指している。

b) がんの新規原因遺伝子の同定とがん発生機構の解明
 今まで原因遺伝子がまったく同定されていなかった胎児型横紋筋肉腫やほとんど同定されていなかったMDSから、病態に強く関連した新規キメラ遺伝子を同定した。現在、これらの原因遺伝子によるがんの発生機構の解明に取組んでいる。


5)新規FISH技術の開発と応用

 世界に先駆けて、Gバンドに一致して染色体の各バンド領域を特有の色調で識別可能な染色体カラーバンディング法を開発し、spectral color banding (SCAN) 法と名付けた。この方法によってバンド単位で染色体異常の由来の同定が可能になり、染色体解析の精度を格段に向上させた。さらに、SKY法とSCAN法を組み合わせた方法も開発した。
また、共同研究で、FISH応用技術である免疫FISH法やRNA FISH法を駆使して、免疫グロブリン遺伝子のクラススィッチメカニズムの解明や新しい遺伝子発現様式の発見に貢献した。
現在も、生命科学の幅広い分野での応用が可能な新規FISH技術の開発に向けて研究を行なっている。


6)高齢者介護サービスの追跡研究

 介護保険制度導入によって介護サービスは利用しやすくなったが、軽度障害者認定者数や介護給付費が急増している。このため、効果効率的な介護サービスの実施が求められている。

a) 介護保険実施前後のサービス利用行動(樽井)
厚生労働省は、軽度障害者と認知症高齢者への効果効率的な介護サービスの活用と科学的なケアマネージメントの促進を重点課題としている。このため、出雲市介護保険課と共同で、出雲市の要介護状態や介護サービス利用状況について介護保険制度創設前後の要介護度とサービス利用状況、家族ケアなどの要因を調査し、地域の実情を踏まえた効果効率的な介護サービスの展開を図るための解析を行っている。

b) 要支援者追跡研究(福間)
厚生労働省は2007年より、要介護状態になりやすい特定高齢者や要支援者(以下、軽度要介護者)の介護予防に重点をおくことにしたが、その実施は難航している。さらに、介護予防対策も専門家主導による予防活動が先行しており、高齢者の「生きがい」を促進し、「継続」可能な地域コミュニティでの活動は少ない。国土の三分の二を占める中山間地域では、人口減少や高齢化が急速に進行し、介護サービス基盤が脆弱である上に、農村社会の崩壊により介護予防のための地域資源の開発と活用が十分でない。このため、雲南市との共同で、前向き研究により中山間地域の軽度要介護者における社会参加、生きがい、介護予防の関連を明らかにし、その成果に基づいて高齢者の「生きがい」を促進する地域コミュニティの資源を開発することを目的にする。


7)産業保健(山崎、岩本)

 産業保健は、職業における労働者の身体的、精神的及び社会的健康を最高度に維持、増進させること、労働者のうちで労働条件に起因する健康からの逸脱を予防すること、雇用中の労働者を健康に不利な条件に起因する危険から保護すること、労働者の生理学的、心理学的能力に適合する職業環境に労働者を配置し、維持することで、作業を人に、また人をその仕事に適合させることである。
 農薬、有機溶剤や特定化学物質の中毒予防、労働安全衛生マネジメントシステムに関する研究を行っている。疫学調査による農薬や有機溶剤暴露や健康被害の実態解明、脂質過酸化を介した中枢神経障害を研究してきた。近年これらの中毒は減少しているが、トルエンの多量暴露、ジメチルホルムアミドによる肝障害、エチレンオキサイドによる多発性神経症、鉛中毒などを経験し、対策に従事した。また、医療福祉機関における職業性感染対策など労働安全マネジメントシステムを研究している。


8)健康なまちづくり(塩飽)

 1999年に地方分権一括法が施行され、中央政府と地方政府は対等・協力の新しい関係に立つことになった。地方政府の役割は、多様な住民参加によって「豊かな」くらしのまちづくりである。1990年より、市町村により老人保健福祉計画などの政策が展開されはじめた。私達は、出雲市や雲南市で健康なまちづくりを支援している。
 出典型的な農山村(山林面積85%、耕地面積7%)である出雲市佐田町は、少子高齢化、過疎に悩みながらも、「地域力の形成」「住民一人ひとりが主役」を基本理念に、住民主体のコミュニティ活動を重視した活動を展開してきた。1983年より、住民や関係機関の協働による健康福祉活動に取り組み、住民、議会、民間、専門機関の加わった「佐田町ヘルシータウン推進会議」が、健康福祉のシンクタンクとして機能した。地域で子どもを育くむことを目標にした「母子・学校部会」、コミュニティブロックでの健康福祉活動活性化を目標にした「地域部会」、地域で高齢者や障害者を支えることを目標にした「高齢者部会」、壮年期の健康づくりを目標にした「産業保健部会」、ボランティアの育成と支えあい文化づくりを目標にした「共に生きるまちづくり部会」の専門部会が諸活動を調整した。
 壮年期の健康対策では、1983年に「全町民が年に1回は健診を受けよう」と共同健診を開始した。1984年には佐田町産業保健会が発足し、佐田町、商工会、企業、島根医大などの協働体制が確立した。従業員3人以上の町内全事業所が参加し、2000年には48事業所、共同健診受診者は812名に増加した。運営は、事業所からの会費と健診サービス機関からの手数料に依っている。1992年からは、産業保健会顧問産業医を置き、ヘルスパスポート活用、禁煙プログラム導入、衛生管理者・衛生推進者の育成、セイフティ&ヘルスパトロール活動などを進め、壮年の高血圧および脳血管疾患の減少に寄与した。
2005年に佐田町は出雲市に合併されたが、引き続いてコミュニティセンターを中心に住民協働のまちづくりを続けている。


9)臨床医動物学(米山)

 医動物学は、病原性寄生虫、生活環境に存在する病原性動物や病原体媒介動物を対象とした学問である。地球温暖化や南北格差の拡大などにより熱帯寄生虫病が増加している。
 塩飽は国際協力事業団専門家として、熱帯寄生虫病(マラリア、住血吸虫症、回旋糸状虫症など)の疫学および熱帯病対策の研究に従事した。国内では、海外旅行者や来日外国人による輸入寄生虫疾患(マラリア、赤痢アメーバ)、野外活動によるダニ媒介リケッチア症(日本紅斑熱、ライム病)、ゲテモノ食いによる幼虫移行症が増加しており、これらの医動物症例の診断と治療について研究してきた。また、人体寄生虫であるマンソン裂頭条虫プレロセルコイドの分泌する成長ホルモン様物質およびプロスタグランディン、ヒト糞線虫感染幼虫の発育モデルを用いて、宿主−寄生虫関係の解明に取り組んできた。さらに、寄生虫に特有な代謝機構や蛋白質は治療薬やワクチンの開発に有用であるため、アイオワ大学や愛媛大学と共同で、回旋糸状虫のRNA編集、三日熱マラリア原虫の伝搬阻止ワクチンの開発を行ってきた。

 

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