「血清TARC(ターク)迅速測定法を用いた重症薬疹の早期診断」が先進医療に認定されました【8/10記者会見】

公開日 2018年09月04日

 当院皮膚科において、「血清TARC迅速測定法を用いた重症薬疹の早期診断」が、平成30年6月1日付で先進医療として認定され、8月10日に記者会見を行いました。
 薬疹は、薬剤により生じる皮膚障害で、薬剤性過敏症症候群(DIHS)は、Stevens-Johnson 症候群(SJS)、中毒性表皮壊死症(TEN)とともに致死的な重症薬疹です。
 薬疹は病態が多彩でそれぞれ治療方針が異なるため、早期からの正確な診断が望まれますが、これらの判別は専門医でも容易でなく、客観的かつ迅速な診断法が強く求められていました。
 しかし、近年の研究により、「血清TARC値(アトピー性皮膚炎の重症度マーカー)」がDIHSの発症初期から著明に高値となり、他の薬疹病型との鑑別に有用であること、DIHSの重症度を反映することが明らかとなりました。
 従来の診断法(病歴・薬歴・臨床所見・一般血液検査)に迅速な血清TARC 検査の結果を加えることにより、従来よりも迅速かつ正確にDIHSとそれ以外の薬疹(SJS/TEN等)の鑑別が可能になり、薬疹のタイプに応じた最適な治療を早期に開始できます。
 当院はシスメックス社製の全自動免疫測定装置HISCL(R)を所有しており、測定開始から17分でTARC値が測定可能となり、検査結果を用いた早期診断が可能です。
 皮膚科学講座 森田栄伸 教授は、「今後は、多施設共同臨床研究に参加し、症例を集積して早期の保険適用を目指します。」と力強く語りました。

(記者会見の様子)
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(左から、井川 幹夫 病院長、皮膚科学講座 森田 栄伸 教授)