消化器外科

消化器外科の専門分野


 消化管疾患(食道・胃・大腸・肛門)

 

診療内容


胃癌に関して

内視鏡下手術図 現在まで2000例を越える治療実績があります。最近では、内視鏡下手術(図1)を積極的に導入しており、患者さんの術後の生活の質が向上しています。内視鏡下手術は、当初は早期癌のみに施行していましたが、現在では徐々に適応を拡げており、最近では胃癌新患患者の約半数に行っています。
 現在までの当科の胃癌の治療成績を簡単に説明します。胃癌全体の累積5年生存率(治療後5年生きる可能性)は約60~65%です。進行癌の場合、術前や術後に補助療法(抗癌剤療法、放射線療法など)を追加する事もあります。胃癌の進行度や患者さんの全身状態等によって、どのような治療法を選択するかを決めます。
 胃癌の具体的な治療成績として、進行度別の無再発生存率(図2)と他病死を含めた全体の生存率(図3)に示します。無再発生存率(図2)では、進行度IA(早期癌でリンパ節転移のないもの)では100%の10年無再発生存率(他病死は含めず癌死だけで10年生きる可能性)で、再発はありません。進行度IIIA(癌が胃壁を突き破るか、ある程度のリンパ節転移のあるもの)の5年無再発生存率でも58.1%と良好であり、日本の他施設と比べても遜色ありません。全体の生存率(図3)では、進行度IA(早期癌でリンパ節転移のないもの)では89%の5年生存率で、進行度IIIA(癌が胃壁を突き破るか、ある程度のリンパ節転移のあるもの)の5年生存率でも47.6%と良好です。

胃癌術後無再発生存率

胃癌術後の他病死を含めた全体の治療成績

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食道癌に関して

鏡視下食道切除および再建図 山陰では最も多くの症例を扱っており、国内はもちろん世界的にみても治療成績は良好です。また、鏡視下手術(図4)は山陰で唯一専門的に行っており、現在ではある程度の進行癌までに導入し、最近では内視鏡下手術の割合が急増しています。現在までの食道癌治療例数は410例と、山陰ではもっとも多くの患者さんを治療しています。

★初診食道癌患者の治療方針の決定に際しては、外科だけでなく腫瘍科、消化器内科、放射線治療医と院内合同カンファレンスを開催して決めています。

★胸部食道癌には、頚部・胸部・腹部のいわゆる3領域リンパ節郭清を標準術式としています。比較的早期の食道癌には内視鏡下食道切除・再建術を積極的に採用しています。

★臨床病期II、III期では、術前あるいは術後補助化学療法を行っています。

★今までの当科の食道癌治療成績を簡単に説明します。手術で切除できる患者さんは全体の約8割で、手術中に癌が全部取りきれたと判断できる根治切除の割合は約6~7割です。食道癌は、根治切除がなされても進行癌が多く、術前や術後に補助療法(放射線療法や化学療法)を加える事もあります。

★食道癌治療後の、全例の5年生存率はだいたい30~35%です。しかし、最近では治療成績が向上し、切除例では5年生存率は約40%、根治切除例では約47%と半数の患者さんが治るようになりました。具体的には、進行度I(癌が食道壁内に留まりリンパ節転移のないもので、早期癌やそれに近いもの)の術後5年生存率(癌死は他病死を含めた5年生きる可能性、図5)は63%、無再発生存率(他病死は含めず癌死だけで5年生きる可能性、図6)は94%と良好です。進行度II(癌が食道壁を突き破るがリンパ節転移のないもの)ではそれぞれ55%、75%であり、進行度III(癌が周囲の臓器に浸潤しているかリンパ節転移があるもの)ではそれぞれ26%、43%であり、これは更にリンパ節転移の程度、範囲、個数などで細かく分類されます(図7、8)。これらの治療成績は、日本はもちろんの事、世界的にみても良好です。

食道癌術後治療成績

食道癌の進行度別治療成績

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大腸癌治療に関して

 現在まで900例以上の治療を行っており、手術症例(消化器・一般外科症例)の5年生存率(癌死、他病死など全て含めた5年生きる可能性)は病期(Dukes)A 89.2%、B 83.5%、C 61.9%、D 9.6%であり(図9)、もとの癌による死亡のみでみると、A 98.2%、B 93.1%、C 68.5%、D 11.1%です(図10)。

大腸癌術後生存率

 手術については、患者さんのQOLを考慮した腹腔鏡補助下手術の症例数が増えて来ています。腹腔鏡補助下手術は、現在までの報告を見る限り通常の開腹手術と比較して手術成績にも差がないと言われており、今後も積極的に取り組んでいきます。直腸癌に対する手術においては、術後、排尿・排便機能や性機能障害などのQOLの低下を最小限に抑えるため、可能な限り自律神経温存術式を行っています。また特に下部直腸の進行癌に対しては、術前に放射線化学療法を行っています。肝転移や肺転移を伴う症例に対しても、治癒切除可能と考えられる症例に対しては、転移巣を含めて積極的に切除を行っています。また、症例に応じて、肝動注化学療法やラジオ波などによる治療を行っています。また、治癒切除術を行った患者さんのうち、病期(Dukes)Cの方や、病期Bのうち再発の危険度が高いと思われる方に対しては経口抗癌剤(ホリナート・テガフール・ウラシル療法)等による補助化学療法をおすすめしています。治癒切除が困難な症例や再発を認めた症例に対しては、オキサリプラチンやCPT-11などを用いたいわゆるFOLFOX療法(mFOLFOX6、FOLFOX4)、FOLFIRI療法を行っています。最近ではさらにベバシズマブ(アバスチン)など分子標的抗癌剤を用いた治療法を行っています。化学療法については、患者さんの病状、QOL、家庭環境などを考慮し、患者さんとご相談の上治療法を決定しています。また、外来化学療法室とも連係し、できるだけ外来通院で治療ができるようにしています。

腹腔鏡補助下手術後の手術創

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大腸癌症例数

結腸癌および直腸癌の5年生存率

結腸癌および直腸癌の病期別5年生存率の比較

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その他の疾患に関して

 クローン病や潰瘍性大腸炎などの炎症性腸疾患に対する外科的治療や、痔核・痔瘻・裂肛・直腸脱など種々の肛門部良性疾患に対する治療にも積極的に取り組んでいます。このうち内痔核に対しては結紮・切除法(閉鎖または半閉鎖式)、PPH法で対応しております。また痔瘻については、クローン病に合併する症例や深部の複雑な症例に対しては、シートン法を積極的に用いて治療を行っています。

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