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泌尿器科

泌尿器科の概要及び対象疾患と診療内容


2)腎不全・腎移植


腎移植の模式図及び尿管をレシピエントの膀胱に吻合

 腎不全とは糸球体での尿の濾過能と尿細管での分泌再吸収能が障害され、腎機能が極端に低下した状態です。腎臓には血圧の調節、赤血球の産生、ビタミンD の活性化など一見、尿と関係がない機能もあり、腎不全状態ではこれらの機能も低下します。従って腎不全症状としては(1)尿量の減少と身体のむくみ、(2)身体がだるく気力がなくなるなどの脳神経症状、(3)食欲低下や悪心嘔吐などの消化器症状、(4)高血圧や呼吸困難、(5)筋肉のつり、(6)貧血や息切れ、(7)出血傾向などが挙げられます。末期腎不全になると腎臓の代替療法が必要で、当科では血液透析に必要な内シャント作成や、腹膜透析に必要な腹膜カテーテルの留置を行っています。末期腎不全に対する根本的な治療としての腎移植も2005年から再開しました(図8、9)。
 我が国では現在2005年末の時点で約25万8千人が末期腎機能不全で血液透析を受けており、毎年増加傾向にあります。そのうち死体腎移植(献腎移植)を希望し、日本臓器移植ネットワークに登録を行った患者は約1万1500人で、実際に2005年死体腎移植を受けた患者は160例のみです(図10)。生活習慣病、特に糖尿病に伴う腎機能障害(糖尿病性腎症)の増加が顕著で、今後ますます臓器不足に拍車がかかるものと思われます。また、2005年1年間で腎移植は994例に行われておりますが、834例が生体腎移植です。このように絶対的臓器提供不足のわが国では、親子や兄弟間など血縁者間での生体腎移植が一般的なのが現状です。以前は、親子でも血液型が不適合であると腎移植は困難であると考えられていました。しかし、免疫学的にハイリスクの症例では術前に脾臓を摘出し抗体の産生をできる限り抑制すること、血漿交換を行い既存の抗体を可能な限り除去すること、免疫抑制剤に加えて分子標的薬剤を使用し拒絶反応を最大限に抑えること、など最新の医療の組み合わせで、腎移植を可能とすることができます。一方、白血球の血液型であるHLAは移植に関して重要で、この適合性により生着率に差が生じることが知られており、親子や兄弟間など血縁者間での生体腎移植で生着率が良いのはそのためです。前述のように絶対的臓器提供不足のわが国では今後、夫婦間での生体腎移植(わが国で認められている唯一の非血縁者間の生体腎移植です)も増加することが予想されます。夫婦間で腎移植を行う場合、元来夫婦は他人ですからこのHLAの適合性が極端に低いのは事実です。しかし、従来使用されている免疫抑制剤に加えて新しい分子標的薬剤の併用や血漿交換を術前あるいは術後に行えばHLAの適合性を超えての夫婦間での腎移植も可能となりました。透析療法中の患者の死亡原因は、循環器障害や脳循環障害などの透析療法による合併症が主たるもので、透析期間が長期になればこれら合併症の頻度も増加します。一方、腎移植は腎不全に対する根本的な治療法です。腎移植の成績は優れた免疫抑制剤の開発や移植免疫の進歩により目覚ましい向上を遂げています。当科ではABO血液型不適合腎移植や夫婦間での腎移植など、いわゆるハイリスクの生体腎移植に積極的に取り組み、2005年から現在まで7例に行いましたが、全例で腎機能は非常に良好です。血液型が違うから、夫婦だからという理由で腎移植ができないと思っている患者がおられましたら、是非とも当科外来を一度受診するよう勧めてください。不可能を可能にすることで、腎不全の患者さんにより良い生活の質の向上を提供することが私たちの使命だと考えております。

 

  腎移植推移

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