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評価委員会委員長 瀧野 敏子
(特定非営利活動法人 女性医師のキャリア形成・維持・向上をめざす会(ejnet)代表理事)
1)事業内容の現状と成果、課題
アンケートについて:女性スタッフ支援室として行なった各種アンケートの中でも、医学部学生に対するアンケートの回答が注目される。
医学部医学科ではアンケートの回答率は、男性(34%)が女性(66%)より低く、医学科学生の男女比から考えても、男子医学部学生の本課題に対する意識の低さがうかがわれた。学年が進むほど男子学生は、「(結婚、あるいは子供ができたら)パートナーに仕事を辞めてほしい」と回答する率が増加する。現実の厳しさを知るにつれて「自己保存(保身)」に傾く男子学生の本音が垣間見られる。
アンケート設問自体が「女性の方が結婚、子育てを契機に辞職すること」を前提に設定されているように見える。問いかけ方にも一工夫があれば、男女学生に「気づき」を促し議論を惹起する教育的効果があるだろう。例えば、男子学生に対して、「あなたのパートナーがあなたに結婚、子育てを契機に辞職することを希望したらどうしますか。その理由は?」など。
実際、本事業の一環として平成20年6月に行なわれた山田正人氏による「男性の育休を通じて考えるワークライフバランス」講演後のアンケート・フリーコメントには、山田氏の新たな発想と体験に対する男女医学生の新鮮な驚きや素直な感動が記されており、教育効果があがったといえる。感受性のまだ柔軟な若い時代に「早期からのキャリア意識育成」をする際のベースとなる意識付けの戦術として今後とも大切な課題になるポイントである。
搾乳・授乳室の整備について:平成20年1月7日に搾乳・授乳室(休憩室)が開設されたのに引き続いて、4月1日には病児・病後児保育室もスタートしているのは大変喜ばしいところである。ただ、搾乳・授乳室を利用する際、都度に部屋のかぎを医療サービス課から借りる手間は利用者のあいだで不便に感じられていないのか知りたい。管理を徹底することを条件に該当者に合鍵を渡すなどの濃やかな配慮が必要かもしれない。
スキルアップ・看護師復職トレーニング支援事業について: 「離職看護師アンケート」で、復職を考えた時の不安材料についての問いに対する1位は勤務体制、2位は看護技術とある。これは他の病院現場での現状とよく一致している。新たな医療・IT知識へのキャッチアップもさることながら、注射・点滴や心電図のとり方、全身状態の観察と危険予知など看護の基礎技術に自信を持てない離職看護師は多い。技術面に力点を置いたプログラムの開発も今後提出されることと期待する。
2)本事業のオペレーション上の課題
少なくとも評価委員会の時点で、内田副室長にあらゆる業務が集中してショートを起こしかねない状況が見て取れた。女性スタッフ支援委員会委員全員が本務との兼任であるため物理的に解決が困難な状況であろう。今後の事業推進、特にNPO化準備にむけて核となる専任スタッフの確保が必要になってくる。
3)NPO化への課題
すべからく事業を継続させるためには、明確な理念の下、@財務基盤の確立、A事業の絞込み(選択と集中)、Bリスクをとる覚悟を決めた最終責任者の存在、が必須である。
財務基盤安定のために収益事業を行なうのであれば、NPOよりも他の経営形態の方が適している可能性があるのでその点もふくめて今後充分議論されたい。
<総評>
本事業は、小林祥泰委員長のリーダーシップと内田伸恵副室長の実務力、各委員の協力とそれらを支える事務スタッフの協働により着実な進捗を見せている。出雲から世界へ向けて女性医療職の元気な旅立ちのしくみをますます充実させていくことを期待する。以上。