2-F-1-5第17回医療情報学連合大会 17th JCMI(NOV,.1997)

インターネットテレパソロジーシステムの仕様と実装

永田 宏 , 水島 洋 , 土橋 康成 , 真崎 武
国立がんセンター研究所がん情報研究部1 , 京都府立医科大学付属病院病理部 2

World Wide Microscope: Requirements and implementation of a new telepathology system over the Internet

Hiroshi Nagata , Hiroshi Mizushima , Yasunari Tsuchihashi , Takeshi Mazaki

Cancer Information and Epidemiology Division, National Cancer Center Research Institute(hnagata@ncc.go.jp)1 , Hospital Pathological Division, Kyoto Prefectural University of Medicine2

Abstract:We designed a new concept telepathology system named World Wide Microscope (WWM). WWM is an automatic microscope system that enables to be remote-controlled via the Internet. It was designed on the bases of NCC_image, an interactive remote collaboration teleconference system over the Internet, and OLMICOS, an ISDN dependent still image telepathology system. Because WWM is implemented by Java programming language, and a Java applet is the substance of the system, the user can use it by using only a personal computer and a popular internet browser. Additionally the algorithm of OLMICOS can establish comfortable remote-controling of distant microscope under still image condition. We think WWM is one of the ideal telepathology solutions in the Internet age.

Keywords: telepathology, internet, Java applet, NCC_image, OLMICOS



1. はじめに

従来のテレパソロジーシステムは、初期投資が大きい、通信コストがかかる、メーカー間の互換性が低いなどの問題を抱えてきた。専用の通信端末を用い、ISDNの直接接続をおこなっている限り、この問題を解消することは難しい。しかしシステムのこうした問題が、日本におけるテレパソロジーの普及の大きな障害となっているのは事実である。
昨年、我々(HN,HM)はJavaアプレットを用い、インターネット上で画像連携を実現する新しいタイプのテレカンファレンスシステムNCC_imageを開発し、本学会で発表を行なった。1) 一方、1991年以来、我々(HN,YT,TM)は静止画を用いたテレパソロジーシステムOLMICOSの開発を行い、かつその臨床への応用に取り組んできた。2) OLMICOSは他のシステムと同様、上述の問題を抱えているが、静止画条件下での顕微鏡遠隔操作を、ほぼ100パーセント実現している。
今回我々はこの2つのシステムを融合させることにより、従来のシステムが持つ問題を一掃するシステムを考案した。このシステムはインターネット(World Wide Web)を用いて画像伝送および連携コマンドの伝送を行なうものである。その特徴から、我々は本システムをWorld Wide Microscope(WWM)と名づけることにした。WWMはインターネット時代にふさわしいテレパソロジーシステムのソリューションであると考えている。

2. NCC_imageおよびOLMICOS

図1はNCC_imageのシステム構成図である。本システムの本質は、インターネットホームページ上にセットアップされたJavaアプレットと、画像連携コマンドを中継するための通信サーバーである。インターネット上のユーザーがこのホームページにアクセスすると、アプレットがブラウザ内にダウンロードされ、自動的に立ち上がる。アプレットはホームページから、遠隔カンファレンスに用いる画像をダウンロードして表示する機能や、表示画像の切り替え、画像の拡大表示機能などが実装されている。また、ホームページ上で走る通信サーバーと、インターネットを通してソケット接続する機能が実装されている。2つ以上のクライアントが通信サーバーに接続すると、画像連携のためのコマンドが、サーバーを中継して相互に交換される。このようにしてインターネット上の複数のパソコン間でのインターラクティブな画像連携が実現する。
図2はOLMICOSのアルゴリズムを表わしたものである。OLMICOSでは、まず最初の画像(通常は標本のマクロ画像や顕微鏡低倍率の画像)が撮影され、受信側に送られる。受信側でこの画像のなかからさらに拡大して観察したい部分を指定する。送信側ではその指示にしたがって対物レンズが自動的に切り替わり、ステージが所定の位置に移動する。全自動顕微鏡を用いた場合は、フォーカスと照明も自動的に調節される。そして静止画像が取り込まれ、受信側に送られる。この一連の操作を繰り返すことにより、低倍率から高倍率に至るまで、系統的に標本観察を行なっていくことができる。

3. World Wide Microscopeの設計

図3はWorld Wide Microscopeの設計図である。図1と比較すれば分かるように、WWMはNCC_imageに画像取り込み機能と顕微鏡操作機能を付加したものである。もちろんアプレットには、OLMICOSの操作性を実現するためのいくつかのメニューを付け加える必要がある。これらを1台のパソコンに収め、さらに全自動の顕微鏡を接続すればWWMが完成する。使い方はNCC_imageと同じである。インターネットに接続されたパソコンからホームページにアクセスすると、アプレットがダウンロードされ、自動的に起動する。アプレットをソケットを用いて通信サーバーにつなぎ、メニューを操作して画像取り込みを指示する。アプレットから発生したコマンドは通信サーバーに送られ、それにしたがって顕微鏡操作が行われ、画像が取り込まれ、アプレットに送られてくる。
WWMに接続できるクライアントの数は、現時点では制限を設けない。つまり複数のクライアントが同時にWWMに接続できるようにする。しかしすべてのクライアントから操作ができるようにしてしまうと混乱が生じるため、操作者はひとりに限定する。他のクライアントは、WWMから送られてくる病理画像を表示して観るだけである。ディスカッション用のマウスポインターもひとつに限定するか、それとも人数分だけ用意するかについては、現在検討中である。

4. 実装

アプレットは当然ながらJava言語で開発しているが、その他の構成要素はVisual C++を用いて開発している。WWMの本体を構成するパソコンは、Pentium搭載のWindowsマシンである。マック用はいまのところ考えていない。しかしC/C++言語で開発を行なっているので、Windowsからマックへのポーティングは比較的簡単であると思う。もっとも機種依存が強い部分は顕微鏡操作と画像取り込みの部分である。現在OLYMPUSのAX80を用いて開発を行なっているが、顕微鏡操作用のコマンドや関数はメーカーごとに異なっているため、他の顕微鏡をつなぐ場合には、ソフトウエアを修正する必要が生じる。ビデオキャプチャーボードの操作も標準化されていないため、この部分も機種に合わせて作り替える必要がある。現在使用しているものは、日立のJPEG機能付きのボードである。WWMの最初のバージョンは、年内に完成予定である。


図表

図1、 NCC_imageのシステム構成図


図2、 OLMICOSのアルゴリズム


図3、World Wide Microscopeの構成図


参考文献

1 永田宏、水島洋:インターネットメールの遠隔コンサルテーションへの応用:第16回医療情報学連合大会論文集、630-631, 1996.
2 永田宏他:静止画対応テレパソロジーシステムにおける顕微鏡遠隔操作方法:第16回医療情報学連合大会論文集、674-675, 1996.

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