2-F-3-1第17回医療情報学連合大会 17th JCMI(NOV,.1997)

医療情報ネットワーク相互接続プロジェクト

水島 洋1 2 , 内山 映子1 2 , 秋山 昌範1 3 , 辰巳 治之1 4 , 山本 隆一1 5 , 花井 荘太郎1 6
医療情報ネットワーク相互接続研究会 , 国立がんセンター研究所 , 国立国際医療センター , 札幌医科大学医学部解剖学教室 , 大阪医科大学医療情報部 , 国立循環器病センター

Medical Internet Exchange Project

Hiroshi Mizushima1 2 , Eiko Uchiyama1 2 , Masanori Akiyama1 3 , Haruyuki Tatsumi1 4 , Ryuichi Yamamoto1 5 , Sotaro Hanai1 6

Medical Internet Exchange Association(info@mdx.or.jp) , National Cancer Center Reserarch Institute , International Medical Center of Japan , Sapporo Medical University , Osaka Medical College , National Cardiovascular Center

Abstract: Internet has been widely used even for medical institutes and hospitals, however ; its use for telemedicine is still low. Meanwhile, medical network projects such as Cancer Information Network, Cardiovascular Information Network, 'Information Network for National Hospitals' has been established. These network projects are operated independently. There are also many hospitals and clinics connected to internet by commercial internet providers. To make an secure and efficient network between medical networks and medical institutes, we started Medical Internet eXchange project (MDX project) . To make the administrative policy of this project, we established Medical Internet eXchange Association. The concept, hardware system, software system, firewall configuration, and routing policy will be also discussed.

Keywords: Internet, Medical Network, Exchange point, Intranet, Extranet



1.はじめに

 昨今多くの医療機関がインターネットに接続されており、インターネットの発達と医療の情報化が相まったことによって、医療従事者のインターネット利用者の数も多くなってきている。これに伴って、医療におけるインターネットの活用への取組が様々な形ではじまっている。電子メールの利用による情報交換やメーリングリストによる議論、文献検索、wwwによる情報検索に始まり、テレビ電話を用いたコンサルテーションや合同カンファランスなどの遠隔医療、データ共有などがある。しかし、実際の医療機関のネットワークへの接続は、それぞれ別のプロバイダーとなっており、それらの間における通信はセキュリティ、AUP(Acceptable Use Policy)、パフォーマンス、費用など、さまざまな点から問題となっている。1),2)

2.方法

2.1プロジェクトの設立

 上記のような医療情報の伝送に関する問題を解決し、医療情報ネットワーク間の通信の向上を目的として、科学技術庁の研究費によって医療情報ネットワーク相互接続プロジェクト(MDXプロジェクト)が開始された。このプロジェクトでは、共同研究としてのネットワーク接続を行うばかりでなく、インターネット接続に関する助言を行うことによって、医療におけるネットワーク利用の普及啓蒙を促進することも目的としている。現在、医療機関や医療ネットワークと次々に接続を開始している。

2.2システムの構成

 24時間の保守管理体制が完備している東京大手町にあるハウジングサービス内にラックを設け、ルータやサーバーなどを設置した。上流プロバイダーとしては省際ネットワークにシリアルケーブルで接続した。サーバーにおいては、dns, sendmail, httpd, proxy, cache などの機能を導入した。ルーターにおいては、それぞれの接続機関の趣旨にそった通信制御を行っている。

2.3MDX研究会の設立

 MDXプロジェクトの運用などを目的として、MDX研究会が今年の6月に発足した。研究会の議論に従ってMDXプロジェクトの運用方針の決定や各種サーバーの管理、運用規則などを決めることになっている。研究会は、開原 国立大蔵病院院長、高橋 京都大学医学部付属病院教授に顧問になっていただき、 水島(国立がんセンター研究所) 、秋山(国立国際医療センター) 辰巳(札幌医科大学)らを中心として活動している。本プロジェクトに興味のある人は所定の手続きによって入会が可能であり、規則や手続きなどはMDXのホームページ(http://www.mdx.or.jp/)に公開されている。

3.結果と考察

3.1MDXの機能

 本プロジェクトでは、次の機能を導入(一部予定)している。a.省際ネットを介したインターネット接続(NOCはNSPIXP2までFDDIを経由して100Mbpsで接続)。b.情報提供サーバー(http://www.mdx.or.jp) 。c.有用な医療情報提供機関との直接接続 。d.ClosedなNews サーバ 。e.全国におけるアクセスポイント 。また、MDXの相互接続点(MDX-NOC)は、医療機関との間の通信がしやすい点であるため、各種の医療関連の情報提供サーバーやキャッシュサーバーなども行う。
また、イントラネット接続を希望する医療機関にとっては以下の機能が利用可能である。a.Firewall による外部からの直接のアクセス制限 。b.情報提供代理サーバ 。c.DeleGate サーバによる各種情報の中継 。d.全国におけるアクセスポイント(イントラネットとして)
さらに、今後以下のようなことを計画し、準備している。 a.海外のMDX相当ネットとの連携 b.衛星によるバックアップ通信 。c.認証サーバ。d.暗号ルータによるインターネットを介した通信

3.2MDXプロジェクトへの接続手順

 MDXへの接続に必要なものは、接続専用回線、DSU、ターミナルアダプタ、ルータ、IPアドレス、ドメイン名、およびMDXへの接続申請書である。
接続にかかる通信回線費用としては、MDX-NOCまでの専用回線であり、東京都区部(大手町より15Km圏内)の場合には、NTTのデジタルアクセス64を用いると、接続費用が月額約2万円程度で可能になる。それ以上遠方の場合には、全国主要都市にアクセスポイントを持つフレームリレー網が利用できるので、月額10万円以下での通信が可能である。なお、地方都市の場合、その地域におけるいくつかの医療機関を束ねて、MDXへ接続する形態を取るとさらに費用がかからないばかりでなく、地域医療における通信がより効果的に行えるようになる利点もある。これはMDXの地方NOCという位置付けとも考えられる。

3.3運用状況

 現在、国立病院、医療機関、地方医師会、医療関連財団などが順次接続を開始している。そのうちMDXのみへの接続は2機関、商用との併用が2機関ある。いずれも現在のところ問題なく運用されており、従来の接続環境に比べてより快適な環境を受けている。

4.まとめ

医療機関において、ネットワークを利用した情報交換の有用性は、様々な面から大きいものがある。しかし、伝送するデータが多種類あり、患者のプライバシーを守りながら、安定した通信環境が必要である。そのためには、従来のようにお互いの通信を行う場合に、一般のインターネットの利用には問題があり、また学術ネットの場合には、患者紹介や保険点数の請求などの目的で利用することが、AUP上難しいこともある。そこで、医療機関が接続しているネットワークを相互に接続し、また、医療機関が接続しうる環境を整備することによって、医療情報の安全で活発な交換を行うための実験環境の運用を開始し、その上で様々な問題を検討した。

図表

図1、医療情報ネットワーク相互接続プロジェクト概念図

 説明: MDX-NOCを設け、医療機関が相互に接続することによって、より高速で安全な医療機関同士の通信が可能になる。図の例:A Hosp: 都内で直接接続の場合、B Hosp: FR経由の接続、イントラネット接続の場合、C Hosp: 地方で商用接続している場合、D Hosp: 商用接続で直接接続の場合、H Net: 商用接続の医療ネットとの相互接続、N Center 省際ネット接続の相互接続、X,Y,Z Hosp: 地方NOC接続の病院

参考文献

1 水島 洋:医療情報ネットワークの現状と今後の課題:第16回医療情報学連合大会論文集、484-485, 1996
2 水島 洋:医療のためのインターネットインフラストラクチャー:第16回医療情報学連合大会論文集、6-7, 1996

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