3-H-3-2第17回医療情報学連合大会 17th JCMI(NOV,.1997)

日本ダウン症ネットワーク(JDSN)とダウン症に関するデータライブラリ構築の試み

山下 和夫1,9 , 古川 徹生2,9 , 巽 純子3,9 , 百溪 英一4,9 , 北川 剛5,9 , 北澤 一彦6,9 , 福永 一郎7,9 , 黒木 良和8,9 , 武部 啓3,9
金沢医科大学情報システムセンター , 九州工業大学情報工学部制御システム工学科 , 京都大学医学研究科遺伝医学講座放射線遺伝学 , 農林水産省家畜衛生試験場分子病理 , NTTコミュニケーションウェア(株)設備系システム事業部 , 北海道小鳩会 , 香川医科大学人間環境医学講座 衛生・公衆衛生学 , 神奈川県立こども医療センター遺伝科 , 日本ダウン症ネットワーク(JDSN)委員会

Construction of data library for Down syndrome in the Internet and Japan Down Syndrome Network (JDSN)

Kazuo Yamashita1,9 , Tetsuo Furukawa2,9 , Junko Tatsumi-Miyajima3,9 , Eiichi Momotani4,9 , Tsuyoshi Kitagawa5,9 , Kazuhiko Kitazawa6,9 , Ichiro Fukunaga7,9 , Yoshikazu Kuroki8,9 , Hirak Takebe3,9

Information System Center, Kanazawa Medical University,(yamasita@kanazawa-med.ac.jp) , Faculty of Computer Science and System Engineering, Kyushu Institute of Technology , Department of Radiation Genetics, Faculty of Medicine, Kyoto University , Laboratory of Molecular Pathology, National Institute of Animal Health , Network Opererions Systems Division, NTT Communicationware co. , Down Syndrome association of Hokkaido-kobatokai , Department of Hygiene and Public health, Kagawa Medical University , Division of Medical Genetics, Kanagawa Children's Medical Center , Japan Down Syndrome Network(JDSN) Committee

Abstract: A survey of the views in the parents of Down syndrome (DS) children pointed out "lack of information for DS" as the problems they have had. Incorrect information to parents are indirect factors that disturb the development of DS children. To solve the problem, we organized the Japan Down Syndrome Network (JDSN) committee and have been supplying the information including medical care, early intervention education, services in social welfare etc. in the JDSN home page. The activities of the JDSN through interdisciplinary cooperation among professionals, parents and siblings with DS people has been effective than we expected. We made a data library of total information about DS. It is helpful to search and obtain the data for the parents and professionals directly via Internet

Keywords: Down syndrome, Internet, data libraly, home page, network, infomation



1. はじめに

 
 わが国では、まだダウン症などの障害児・者に関する情報が一般に十分でなく、初めてダウン症児をもった親が、医療スタッフから適切なカウンセリングを受けていない場合も存在する。この問題点を解決するため、我々は現在急速に普及しつつあるインターネットを通じて、各地域の医療機関、保健所、行政機関、大学などから情報を簡単に引き出せる情報提供システムの構築を試みている。

2. 方法

2.1 JDSN設立の経緯とネットワーク

 「日本ダウン症ネットワーク(JDSN)ホームページ」(図1)は、ダウン症に関する情報を提供するため、茨城県ダウン症協会により1995年7月に開設された。JDSNホームページを接点とし、各地のダウン症児の親の会のメンバーと各分野の専門家が学際的に協力し、1996年12月にJDSN委員会を設立した。現在、JDSN委員会(1997年8月現在56名)はJDSNホームページの企画、編集を行い、また国際ダウン症連盟の窓口として国際的な情報交流と相互協力を進めている。

2.2 メイリングリストの運営

 JDSNの運営を行うため、1997年1月からJDSN委員会のメンバー間でのメイリングリストjdsn がスタートした。またデータライブラリの構築のため、コンピューター関係の専門家を含むサブメイリングリストとして、jdsn-libが1997年7月にスタートした。

2.3 e-mailによる相談

 JDSNホームページでは、「うえっぶ会議室」を設け、読者間の意見の交換の場や医療・健康、療育・教育、福祉などについての読者からの相談の場としている。また、「うえっぶ会議室」のようにインターネット上に掲載されるのが不都合な場合は、事務局へ直接e-mailで相談ができるようにも対応している。受け付けられた相談は、メイリングリストで委員会に知らされ、対応できる委員が個々に相談に乗っている。

2.4 ダウン症データライブラリ

 ホームページを運営する中で、各地に様々な情報が存在することがわかってきた。そこで、我々はダウン症に関わってきた専門家から情報を集め、分類整理し、解説したダウン症に関するデータベースを作成し、ダウン症に関する全ての情報が簡単にWWW上から検索できるライブラリを構築することを考えている。このダウン症データライブラリは、データが一カ所のサーバーに集中するのではなく、各地のサーバーに分散して存在するデータを有機的に結合し、どこからでもデータの検索ができ引き出せるものである。また、専門家だけでなく、親、当事者にわかりやすいものを目指している。

2.6 日本ダウン症フォーラム開催

オンラインで得られる情報や交流をベースに、専門家や各地域の親の会のメンバーを交えて、学際的な話し合いや交流の場をもちたいと、第1回の「ダウン症フォーラム」を1996年8月に茨城県で開催した。第2回は、1997年11月30日に京都市で開催予定である。ここでは新たな試みとして、インターネットでの会議中継を考えている。

3. 結果

3.1 JDSN委員とメイリングリスト

 JDSNを通して、全国規模でかつ親や専門家間の壁を乗り越えたネットワークの広がりが現在構築しつつある。また、JDSN委員会への参加も当初18名から、8カ月経過した現在では3倍以上に達した。メイリングリストjdsn に寄せられる委員の意見も1カ月平均162通にのぼっている。このため効率よく議論が進み、現在までのJDSNの活動を支えている。また、サブメイリングリストであるjdsn-libは、データライブラリ構築のための実務的なやりとりに大きな役割を担い、居場所が離れていても、プログラム作製の上でうまく役割分担を行うことができた。

3.2 e-mailによる相談

 ホームページ読者からe-mailによるフィードバックによって、まだ医療機関でのカウンセリングや情報が不十分であることがわかったが、逆にホームページが役に立ったという親や医療関係者からの反響も届いている。さらに、福祉サービスの状況に関して、大きな地域格差があることもわかった。したがって、e-mailは相談に乗るという提供面だけでなく、今後のJDSNの取り組みの方向付けにも大いに役立っている。

3.3 ダウン症データライブラリ

 現段階では、検索と登録のプログラムをperlで作製し、ほぼ完了した。検索の画面はより検索しやすいように章・節で情報を整理した目次方式をとった(図2)。また、キーワードでも検索可能にした。

4 考察

 JDSNの取り組みは、ダウン症児の親からの医療、就学、福祉に関連する相談で、重要な役割を果たしてきたと考えられる。また、広く一般の人びとへのダウン症児・者への理解、啓発を行う上でも多くの人の目に触れるインターネットでの公開の意義は大きかったと評価している。今後我々は、JDSNデータライブラリが充実することによって、JDSNが医療や療育・教育、福祉の現場で広く利用され、ダウン症児・者及びその家族の医療、福祉、さらに生活の質(QOL)が大きく改善されることを強く期待するものである。

図表

図1、「日本ダウン症ネットワーク(JDSN)ホームページ」の入り口の画面

 説明:「日本ダウン症ネットワーク(JDSN)ホームページ」(http://infofarm.cc.affrc.go.jp/~momotani/dowj1.html)では、ダウン症に関する情報をインターネットを介して提供している。

図2、ダウン症データライブラリ検索の入り口の画面


参考文献



Microsoft Access TO HTML Converter.Medical Informatics,Shimane medical UNIV.