| 3-I-2-7 | 第17回医療情報学連合大会 17th JCMI(NOV,.1997) |
がん情報ネットワークにおける多地点テレビカンファレンスシステム
○内山 映子 , 若尾 文彦 , 水島 洋
国立がんセンター研究所
Cancer Center Network Multipoint Tele-Conference System
○Eiko Uchiyama , Fumihiko Wakao , Hirosh Mizushima
Cancer Information and Epidemiology Division, Natonal Cancer Center Research Institute(euchiyam@ncc.go.jp)
Abstract:This paper describes about enhancement of Multipoint Tele-conference System, which uses HDTV static images and NTSC dynamic images. Enhanced operability results less burden on operators and more comfortable environment for the audience. Tele-conferences with HDTV are actively organized among Cancer Center Network not only by Medical Doctors but also by para-medicals. We also report about international tele-conferences with NCC and other institutes in overseas using this system by B-ISDN and ISDN. Both types of experimental tele-conferences could provide quite comfortable environment. We are also planning to have experiments with Singapore and Korea.
Keywords: multipoint, teleconference, nationwide
1. はじめに
平成6年度に構築された国立がんセンターを中心とするがん情報ネットワークは一般のインターネット接続を地方のがん関連施設にもたらしただけでなく、各施設の間でHDTV画像を用いた多地点テレビカンファレンスシステムを可能にした。
本発表は同システムの拡張と、海外とのテレビカンファレンス接続実験の結果などに関して報告する。
2. ネットワーク参加施設
1994年12月がん情報ネットワーク開設時には国立がんセンター(中央)、国立がんセンター(東)、国立札幌病院、国立病院四国がんセンター、国立病院九州がんセンターが接続されており、その後1995年には国立呉病院、愛知県立がんセンターが参加し、1996年には宮城県がんセンター、1997年には青森県立中央病院、茨城県立中央病院、千葉県がんセンターが参加した。現在11施設の間で多地点メディカルカンファレンスが行われている。(図1)また、大阪府吹田市の国立循環器病センターと国立がんセンターの間は45Mbpsの高速実験回線で結ばれており、国立循環器センターと循環器病ネットワークに接続されている地方循環器センターの国立病院8施設も同様に接続が可能となっている。
3.多地点プレゼンテーションシステムについて
3-1 システム構成
がん情報ネットワークにおいてはFrame Relayでの64K以上の専用回線による接続とINS1500による公衆光ファイバー網による接続の2系統を併用している。データ転送とテレビカンファレンスを行う場合のみINS1500で接続し、HDTV画像連携とポインターの制御はFrame Relayで行っている。1対1でのテレビカンファレンスの場合には沖電気社製のIP通信によるテレビ会議システムMF2100を、2施設以上の間で行う場合には三菱電気社製のISDNによる多地点テレビ会議システムを利用している。1回のカンファレンスでは数十枚から100枚近くのスライド画像を用いるため、HDTV画像データの先送りによる多地点プレゼンテーションシステムを開発した。これはスライド(画像)表示制御、ポインター制御の二つの機能を備えている。これによってどの施設の参加者にも不自由のないカンファレンスを行えるようになった。
3-2メディカルカンファレンス
3-2-1. 多地点メディカルカンファレンス
上記のシステムを用いて現在週1回(90分)のメディカルカンファレンスを行っている。全施設から発表することが可能であり、通常1回に3人の演者がいるが、これを別々の施設から発表することも可能である。今年度後半のテーマを表1に示す。
カンファレンスの内容は各施設で必要に応じて地域の医療従事者にも開放している。国立がんセンター(中央)のある東京都中央区では、カンファレンスへの参加が区内の医師の継続教育プログラムとして認定されるようになった。
また昨年度からパラメディカルによる多地点合同カンファレンスも開催されるようになった。薬剤士、看護婦、臨床検査技師、放射線技師が交替で毎月発表と討論を行っている。さらに新任レジデントのための多地点合同講習も行っている。今年度は5日にわたって10人の講師が講義を行った。
このほかにも医療画像を中心に行われるテレイメージカンファレンス(毎月)、内科の腫瘍カンファレンス(毎週)、病理カンファレンス、整形外科カンファレンスなどが定期的に多地点合同で行われている。
3-2-2. 海外との接続実験
われわれはまた国内ばかりでなく、既存のシステムを用いて海外の施設との接続実験も行っている。1996〜1997年には郵政省のGIBNプロジェクトで導入した2.8Mbpsの専用回線を利用した国際カンファレンスを米国Duke大学と行った。HDTV静止画像をやりとりするためにがんネットワークで用いているプレゼンテーションシステムを先方にも持ち込んで行われた。現在はさらにシンガポールと韓国との接続を準備している。
また1997年7月1日には384KbpsのISDN回線を用いて香港中文大学、北京とのNTSCを利用した3地点合同カンファレンスを行った。
4.考察
前回公開したプロトコルをもとにがん情報ネットワーク内でのカンファレンスにおいてどの施設でもHDTV静止画を用いてメディカルカンファレンスを行うことが可能となった。これによって操作性が飛躍的に向上したことは出席者お呼び操作者にとって快適なカンファレンスを構築する上で非常に大きな成果であった。異システム間でのポインター表示についてはもう少し工夫が必要であるかと思われるが、これは人的サポートでカバーすることが可能である。
また海外とも同様のカンファレンスを快適に行うことが可能であることがDuke大学との実験で証明された。今回の実験では13時間の時差はあるものの、お互いの症例提示と意見交換における遅れはまったく感じられず、国内のものとまったく遜色ない、それ以上のものであった。この成功を元にシンガポール国立大学、ソウル国立大学との接続実験を開始している。また香港との接続実験はISDN経由であったため、画像は前述のものより少し質が落ちるが、画像、音声はカンファレンスを行うレベルとしては高いものであった。384Kによる国際ISDN接続はDuke大学とも行っている。
今後の課題としてはまずデータ転送の効率化がある。現在INS1500を用いての転送は1対1ずつの転送となっており、全施設に転送するには時間がかかる。
11施設が参加している今、衛星による一斉転送などを試みてみることを計画している。次にインターネットの利用増大に伴うネットワークの混雑をカンファレンス開催時にどうやって回避するかが検討課題である。今後参加施設がさらに増加することを考慮すると逼迫した問題であり、これらを踏まえながらよりよい広域カンファレンスシステムを構築していくことが今後のさらなる課題である。
謝辞
本発表にあたり、各施設の担当者をはじめ株式会社ニコン、株式会社日立製作所、三菱電機株式会社、ネットワンシステムズ株式会社、株式会社インテックほかがん情報ネットワークを支えている多くの皆様のご協力に感謝します。
図表
図1、全国のがん情報ネットワーク参加施設
表1、1997年度後半多地点メディカルカンファレンステーマと担当施設
参考文献
1 水島洋他:全国がん情報ネットワーク網の構築と、マルチメディアを用いたテレメディシン:第15回医療情報学連合大会論文集、163-166, 1995.
2 水島洋他:ハイビジョン多地点同時テレビカンファランスシステム:16回医療情報学連合大会論文集、628-629, 1996.
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