第125回日本眼科学会総会

第125回日本眼科学会総会 寄稿 『シンポジウム2』

2021年4月8日から11日まで、大阪市でハイブリッド形式による日本眼科学会総会が開催されました。開催前日まで島根県のコロナ発生状況は毎日0~1人。 日本一累計患者数の少ない都道府県になるのも時間の問題でしょう。ひきかえ大阪市は1日患者数が東京を抜いて蔓延防止処置が発動された直後の危ない時期でした。
学会初日、谷戸教授によるプログラム、シンポジウム2『種々の薬剤による主作用・副作用のバイオメトリー』で、「抗腫瘍薬の眼障害」を担当しました。 最初の演者、有田先生はマイボーム腺の機能障害を多岐に渡る新機器で測定され、まさにバイオメトリーを駆使されていました。今年の秋、島根県に講演に来て頂く予定です。 徳田先生は緑内障点眼による角膜バリアー機能を、前眼部フルオロフォトメトリーで評価されていました。眼科入局1年目、FAG後の硝子体フルオロフォトメトリーを何十人も測定したのを思い出しました。 東出先生は緑内障点眼による後眼部への影響評価。ラタノプロスト点眼で生じるCMEは、抗がん剤でのCME発症機序に通じるものが有るかもしれません。 山城先生の抗VEGF抗体による網膜血管障害、当科の小山先生も症例報告されており、注意すべき合併症かと思います。
最後は自分の演題です。1年半前から谷戸教授に頂いた演題にも関わらず、意外と抗がん剤の副作用には中々出会えません。そもそもタキサン系のCMEや免疫チェックポイント阻害剤にいるブドウ膜炎は、 1例報告で日眼会誌に載る頻度です。しかしながら自分は指定演題や依頼原稿ネタに関しては、昔から結構強い〝引き“を持っています。 発表4カ月前に典型的な合併症が次々と出揃い、何とか間に合いました。皆さん、BRAF/MEK阻害剤で高率に網膜剥離を生じることを覚えておいて下さい。
オーガナイザー2名と演者5名は安全を期し全員Zoom参加です。本来第一会場でメインホールの雰囲気を味わいたかったのですが、 演者には会場風景さえ見ることができませんでした。7人で学内Webによる予行演習をしているような感触でした。 参加者の顔や反応を見ながら話せないので手応えを感じ難いという欠点はありますが、事前に講演ビデオを登録・再生する方式は、 講演中に噛んだり時間オーバーしないという点で楽ちんでした。自分の講演を客観的に聞くことができますので、発表スキルが改善するのではと思います。 あと発表時のバーチャル背景、自分用を作っておく必要がありますね。自室のデスクトップパソコンからはどうしても冷蔵庫や電子レンジが写り込みます。 今回はミシガンスタジアムを加工して用いました(写真)。
シンポジウム1では『基礎研究セミナー』で、同期の中尾光善先生(熊本大教授・発生医学研究所)の講演を聞きたかったのですが、リアルタイムで見れるのは2.3日目の特別講演と一部のシンポジウムのみ。 現地に行ければ一緒に梅田へ飲みに行きたかったのに残念です。県外不出期間最長記録が更新されていきます。

兒玉達夫




     
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