第3回Translational Research Conference for Neuroprotection (TRCN)に参加しました

2021年10月23日、第3回Translational Research Conference for Neuroprotection (TRCN)に参加しました。
この研究会は,眼の疾患の神経保護治療開発を目指す若手研究者の学術交流を主な目的とした会で,私も世話人の1人になっています。 今年も昨年に引き続き,コロナの影響でウェブ開催となりました。
一般演題は,聖マリアンナ医科大学の藤田先生からラット緑内障モデルに対するPPARα作動薬の効果,東北大学の俵山先生から活性イオウ分子種に着目した眼内潅流液の開発についての発表でした。
特別講演は,東京大学大学院薬学研究科の一條秀憲先生でした。一條先生は,レドックス調節因子チオレドキシンが,細胞死を誘導するするASK1の抑制因子である事を発見された大変有名な先生です。 私自身,京都大学ウイルス研究所・淀井淳司先生の研究室で,5年半チオレドキシンの研究に携わっていましたので一條先生のお仕事には昔から接していました。 今回の講演では,細胞がASK3を介して浸透圧の変化をセンスする仕組みについてお話し頂きました。 今年のノーベル医学・生理学賞では,細胞が細胞膜上の分子により圧の変化を感じている仕組みの解明に対して授与されました。 今回の一條先生のご研究では,細胞は浸透圧の変化を細胞内からも感じていることが示されました。水と油と言う言葉がありますが, 細胞内では,水と水が分離する現象(liquid-liquid phase separation, LLPS)により,ASKの濃度が局所的に上昇(condensate形成)することでシグナル伝達が行われているそうです。 普段の臨床から離れて第一線の基礎研究の情報に触れて,大変によい刺激になりました。

谷戸正樹




     
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