第45回日本眼科手術学会学術総会に参加して

新型コロナウイルスの影響で、Web形式で執り行われることになった日本眼科手術学会学術総会に、今年も参加・発表してまいりました。
今年の発表は「カフークデュアルブレードゴニオトミー後の隅角解離に対し毛様体縫合を施行した2例」に関する内容で、 毛様体解離の手術治療の際に施行される伝統的な直接毛様体縫合法の中でも、新規の低侵襲の眼内法による治療を試み、良好な結果を得た症例報告です。 結膜・強膜切開を必要としない本術式は簡便で、低侵襲かつ信頼性の高い方法と思われ、minimally invasive direct internal cyclopexy (MIDIC)として紹介させていただきました。 現在、論文投稿中ですが通るといいなと思っています。その他の先生のご講演の中では、 聖マリアンナ医科大学の高橋晃太先生の「原発閉塞隅角緑内障眼に対するGSL+µLOT」の結果が気になりました。 通常、原発閉塞隅角緑内障眼に対するPEA+IOL+GSLの成功率は71.0~92.3%で悪くないのですが、2.9%~5%の方が追加の濾過手術を必要とし、 また、急性閉塞隅角緑内障と慢性閉塞隅角緑内障に対するPEA+IOL+GSLの成功率を比較すると100%と64.3%となり、慢性閉塞隅角緑内障の方が、 圧倒的に成功率が低いことがわかっています。今回、手術までの罹病期間は評価されていなかったようですが、PEA+IOL+GSL+µLOTを行うことによって、 慢性閉塞隅角緑内障眼の追加の濾過手術を避けることができるのであれば、慢性閉塞隅角緑内障の治療が大きく前進することになりそうです。 ただ、あまりに罹病期間が長期の慢性閉塞隅角緑内障眼ではµLOTで介入可能な線維柱帯の流出抵抗だけでなく、集合管以降の流出抵抗も眼圧上昇に関与していると思われるため、 どの程度の罹病期間であれば手術が有効であるかの検討が、今後、必要であると思われました。

松尾将人





2022年1月28日~1月30日に行われた日本眼科手術学会学術総会に参加させていただきました。今回は一般講演20白内障手術の部門での発表となりました。 COVID-19の急増により全発表がweb開催にて執り行われました。レコーディングにて行われましたが、 いずれの先生の発表も活発な議論によりすごく勉強になりました。私は執刀する白内障手術件数も最近増えてきており、 教訓的な症例から多焦点の比較などまで興味深い内容が多くありました。今後COVID-19が落ち着いてきたら来年はぜひ現地での開催と活発な議論ができたら嬉しく思います。

市岡昇

     
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