5月26日に第75回酸化ストレス学会で発表する機会をいただきました。
演題は「緑内障及び非緑内障患者における皮膚カロテノイド量と糖化終末産物量の比較」で,
同門会に引き続き緑内障と皮膚カロテノイド量と糖化終末産物の関連について報告しました。
酸化ストレス学会には医療関係者のみならず基礎の生物学や化学の研究者も多く参加されており,
より学術的な内容が求められる学会でした。
本格的な基礎研究をされている先生方が発表されるセッションの中で,臨床医学研究について発表しました。
他の演題とは少し趣が異なりましたが,基礎研究と臨床医学の橋渡しの一助となれれば幸いです。
オンライン開催であったことは残念ですが,他の研究者の発表や意見を拝聴することは,非常に勉強になり,多くの刺激を頂きました。
医学科6年 加堂陽一
島根大学医学科6年佐々木と申します。
この度、第75回日本酸化ストレス学会学術集会に参加させていただきました。
学生のうちからこうした全国規模かつ歴史のある学会にて口演させていただき、大変光栄です。
私のテーマはこちらです。
「指尖皮膚センサーにより評価した糖化終末産物量・カロテノイド量と糖尿病網膜症の関連」
糖化終末産物AGEs(Advanced Glycation End products)は、簡単に表現しますと老化に関与する因子です。
そしてカロテノイドは野菜や果物に多く含まれ、抗酸化作用により老化を防ぐと言われています。
AGEsやカロテノイドの測定にはこれまで血液検査が必要でしたが、本研究ではこれらを皮膚センサーにより計測し、
糖尿病や糖尿病網膜症との関連について検討しました。
今回の学術集会は以前参加した第23回島根県眼科冬期学術講演、第40回島根大学眼科同門会学術集会と異なり基礎系の研究者が多く、
逆に医師や臨床系の研究者はあまり見られませんでした。
したがって発表の際には糖尿病や糖尿病網膜症の概要を説明するスライドを作成する、略称を減らすなど工夫をいたしました。
たとえ同じ研究テーマでも、場によって相手によって内容を最適化しなければならないと、大変勉強になりました。
またイチ参加者として、緻密な構造やメカニズムに関する基礎研究的な発表は大変参考になりました。
私の研究結果ではカロテノイドが多いほどAGEsが低く、このAGEsが糖尿病網膜症に関連していました。
こうした結果を見るとつい、「野菜をいっぱい食べれば糖尿病網膜症を防げるんだ!」と考えてしまいがちです。
しかしカロテノイド増加によってAGEsを下げることが、糖尿病網膜症の発症を妨げるという因果関係を示したわけではありません。
こうした因果関係を示すには、上記のようなメカニズムを示す基礎研究や経時的変化を追う必要があるのです。
谷戸教授にはこうした関連と因果関係の違いなど、基本的な点から発表スライドの作成まで懇切丁寧にご指導いただきました。
清水啓史先生もご指摘の通り、「異常に教育熱心でバリバリの臨床家の教授」のもとで研究をさせていただけることは本当に幸運なことと感じています。
今後は本題を論文の形で発表できるよう、執筆に邁進してまいります。
医学科6年 佐々木淳一