公開講座名  遺伝情報を知り治療を選ぶ時代へ~遺伝性乳がん卵巣がんをめぐって~
実施責任者  並河 徹 (島根大学医学部 病態病理学 ・教授)
実施協力者  磯村 実  (島根大学医学部 病態病理学 ・講師)
実  施  内  容
実施日:平成26年3月21日(金)

場 所:島根大学医学部看護学科棟 N11教室

事業の内容:
 
市民の皆様に遺伝する病気についての理解を深めていただくことを目的として、本講座を企画した。遺伝する病気の例として、昨年話題となった遺伝性乳がん卵巣がん症候群を題材として取り上げた。
 まず、卒後臨床研修センターの鬼形准教授より、遺伝疾患の基本的な事項についての解説と本学附属病院臨床遺伝診療の診療内容の紹介が行われた。次にがん研究会有明病院遺伝子診療部の新井正美先生から、遺伝性乳がん卵巣がん症候群をはじめとした遺伝性のがんについての解説や、ご自身が診療された症例の紹介、また現在遺伝診療が抱える問題について、解説が行われた。
 最後に総合討議が行われ、市民の参加者から将来の遺伝診療のあり方についての質問などがあり、討議を行った。

 本講座の参加者は約10であった。
 
 参加者の中には、がん治療中の方や遺伝検査に携わっている臨床検査技師の方もおり、わかりやすい講義であったとの感想を述べられた。参加者へのアンケートで、講義内容の理解度を評価してもらったところ、回答のあった全員が5段階中の4と評価し、よく理解できたとの評価であった。批判意見としては、専門用語の解説が少なかった点、講座のタイトルからは敷居が高そうな印象を与える、外部講師の講演資料を配布して欲しかった、というものが寄せられた。
 参加人数が予想より少なかったことは、広報が不十分だった可能性も否定できないが、遺伝する病気に対するイメージが、まだまだ身近なものではないことを表しているものと考えられた。近い将来に実現すると考えられている個人のゲノム情報を用いた医療にむけて、遺伝についての啓蒙活動の必要性を強く感じた。