大会長挨拶

ご挨拶

第20回日本医療情報学会春季学術大会
大会長 津本周作(島根大学)   


このたび、第20回日本医療情報学会春季学術大会の大会長を拝命し,「次世代医療ICT基盤としての人工知能」をテーマとして、2016年6月2日~4日に島根県松江市くにびきメッセで本大会を開催させていただくこととなりました。

エキスパートシステムMYCINが1970年代に開発されて以来,1980年代は人工知能のブームが訪れ,医療応用は人工知能の一つの主軸となりました。しかしながら,人工知能に冬の時代が訪れ,医療応用と人工知能の基礎との間には,徐々に距離が拡がりはじめました。1990年代から2000年代半ばに至るまで,医療への応用はあまり多く見られなかったものの,人工知能の技術は着実に厚みを帯びつつ,研究されてきました。

データマイニングと機械学習の大きな進展・インターネット環境の充実さらには計算資源の飛躍的な向上に伴い,2000年代後半からは,データから知識を生成するという技術はさまざまな分野に応用される中,医療にも浸透しはじめ,大きく時代は変化しようとしています。
しかし,まだまだ多くの可能性を秘めた基礎研究は医療に応用されず,応用される機会を待っているという状況です。

本大会では,距離が開き始めていた医療情報学と人工知能双方の分野を見つめ直しどの様な人工知能の技術が医療に応用できるか,あるいは応用されるべきかを両分野の研究者と共に議論する場を設けたいと考えています。

もしこの試みが成功し,医療情報学会から技術的なイノベーションを促進できれば,医療情報学会の新たな軸を創出,医療情報の世界を深めることになろうかと思います。
会員の皆様,ぜひこの機会に人工知能研究の現状を見ていただくとともに,医療情報学と人工知能との新たな協力関係の構築にご協力いただければと思います。
何卒宜しくお願いいたします。