3. がんとは一体どんなものなのか

人間の体は約60兆個の細胞から構成され、これらの細胞が一定のルールで分裂を繰り返すことで、体の機能を維持しています。ところが、細胞の中にはそのようなルールを無視して際限なく分裂し、周辺組織とは無関係に増殖することがあります。その結果できる細胞の塊が「腫瘍」です。一般に、生命を著しく脅かす腫瘍は「悪性腫瘍」、そうでないものは「良性腫瘍」と呼ばれています。例えば、胃の粘膜のポリープなどは良性の腫瘍で、外科的に切除すれば治りますし、場合によっては切除の必要もありません。これに対し、悪性腫瘍には以下のような厄介な特徴があります。

1)自律性増殖:

がん細胞はヒトの正常な新陳代謝を無視して、自律  的に勝手に増殖を続け、止まることがない。

2)浸潤と転移:

周囲にしみ出るように拡がる(浸潤)とともに、血液やリンパを通って身体のあちこちに飛び火(転移)をし、次から次へと新しいがん組織をつくってしまう。

3)悪液質(あくえきしつ):

がん組織は他の正常組織が摂取しようとする栄養をどんどんとってしまい、またがん細胞から毒性物質が出されることで、食欲低下、全身倦怠、体重減少がおこり、身体が衰弱する。




さらに悪性疾患ではこれらの特徴に加え、もうひとつ「再発」という特徴があります。転移は、最初にできたがんが異なった場所に移り、そこで増殖することをさしますが、再発は、最初の治療から時間がたってから、潜 んでいた、あるいは残っていたがんがまた増えてくることをいいます。

★コラム★
「がん」かそれとも「癌」か

平仮名で「がん」と書く場合は、悪性腫瘍すべてを示し、漢字で「癌」と書く場合は身体の表面をおおう上皮組織にできる悪性腫瘍を示します。 また上皮組織にできる「癌」に対し、上皮組織ではない、例えば筋肉などにできる悪性腫瘍を「肉腫」といいます。 そして、血液を造る細胞から生じた悪性疾患を「白血病」、リンパ系組織から生じた悪性疾患を「悪性リンパ腫」と呼びます。