4. がんはどのようにしてできるのか?

私達の身体を構成している一つ一つの細胞は、「核」と「細胞質」から成っています。私達の遺伝情報である遺伝子は「核」の中に収められている「DNA(デオキシリボ核酸)」という物質に記録されています(図1)。

一つの細胞には約8万の遺伝子が存在していますが、その中でがんと関係のある遺伝子の数は200〜300であると考えられています。

何らかの傷害でこれらの遺伝子が傷つけられて変異が生じ、遺伝子が活性化されたり、不活化されたりすることで、正常細胞はがんを形成する能力を有するがん細胞へと変貌を遂げます。これを細胞の「がん化」といいます(図2)。

がんと関係のある遺伝子には、「がん遺伝子」と「がん抑制遺伝子」があります。「がん遺伝子」は、その働きが過剰になったり、異常になったりすると細胞をがん化させる遺伝子です。一方、「がん抑制遺伝子」は細胞のがん化を抑制する作用をもつ遺伝子で、その働きが失われた場合に細胞をがん化させることになります。





しかし、一つの「がん遺伝子」あるいは「がん抑制遺伝子」に傷がついたからといってすぐにがんができるわけではなく、一般に正常な細胞は、何年もかかって悪性の細胞に変わっていきます。その間に複数のがん遺伝子、あるいはがん抑制遺伝子に異常が起こり、その異常が細胞の中に蓄積され、最終的にがん細胞になるのです。

★コラム★
遺伝子の変異が細胞のがん化を引き起こす

マウス正常細胞をマウスに移植してもがんは形成されません。しかし、ヒトがん細胞由来のDNAを導入したマウス正常細胞をマウスに移植すると、がんが形成されます。
これはヒトがん細胞中の変異遺伝子がマウス正常細胞を「がん化」させたためです。