新生児マススクリーニング

─「新生児マススクリーニング」とはどういう検査ですか。

 生まれつきの病気を見つけるために、出生直後の赤ちゃんに全国一律で行われている公費対象の無料検査です。生後5日目頃に赤ちゃんのかかとから血液を数滴採取して行う検査で、赤ちゃんに負担はほとんどありません。島根県では現在25の病気が検査対象で、生まれつき特定の栄養素を利用する事が難しい「先天代謝異常症」や、発見や治療が遅れると発育や発達に遅れが生じる「先天性甲状腺機能低下症」、体内のミネラルや性ホルモンのバランスが崩れて重い症状が出る「先天性副腎過形成症」などが含まれます。いずれの病気も、症状が出る前の出産直後に発見して治療することが重要です。

─公費対象外の病気も追加検査を行うことができます。

 医学の進歩により、公費検査対象の病気以外にも、検査が必要と考えられるようになった病気があります。例えば、生まれつき免疫力が極端に弱い「重症複合免疫不全症」は、普通の風邪や、生後2カ月以降に接種する生ワクチンなどに含まれるごく弱いウイルスでも、命に関わるほど重症化する可能性があります。また、「脊髄性筋萎縮症」は、筋肉を動かす神経が弱くなり、運動や呼吸が困難になる病気です。どちらも非常に重い病気ですが、症状が現れる前に治療できれば、命を救い、お子さんのその後の生活の質を大きく向上させることが期待できます。この2つの病気については、2023年度から国が主導し公費化に向けた取り組みが進められています。また、当院では、先述の病気をあわせて計9種類の病気を対象とした追加の新生児マススクリーニング検査を実費負担にて行っています。

─追加の新生児マススクリーニング検査の方法は。

 追加検査では、通常検査で採取した血液の余りを使います。現在追加検査は当院をはじめ、県内の15の病院で実施しています。 当院では、万一病気が見つかった場合でも、病気に応じた専門家が診断から治療開始・終了後のフォローまでしっかり対応します。また、家族のカウンセリングやサポートを行える体制も整えています。

─マススクリーニング検査の発展に努めています。

 当院では事前の同意を得たうえで、検査を終えた検体を活用し、マススクリーニング検査の改良や開発の研究を行っています。 私は医師として、これまでも生まれつきの病気をもつお子さんやご家族と関わってきました。もちろん病気はない方が良いですが、病気をもって生まれてきたとしても最大限の幸せな人生を送って欲しいと思っています。医療の進歩によって、かつては早期発見や治療が難しかった病気が、今は新生児期に見つけてすぐ治療ができるようになったものもあります。万一、お子さんに病気があった場合でも、検査を受けたかどうかによって、その後のお子さんの人生が大きく変わるかもしれません。この検査によって、救われるお子さんが一人でも多くなることを願っています。

新生児マススクリーニングの検査機器
新生児マススクリーニングの検査機器

島根大学医学部附属病院 検査部

小林 こばやし 弘典 ひろのり 講師

1999年島根医科大学医学部卒業。松江赤十字病院、東京都立清瀬小児病院を経て、2004年から島根大学医学部附属病院に勤務。2007年に同病院小児科助教、2022年7月から現職。

山口清次先生のご業績

 マススクリーニングの「マス」は「集団」、「スクリーニング」は「検査」を意味します。新生児マススクリーニングとは、生まれてきた赤ちゃん全員が受ける事が出来る検査で、ホルモンと代謝の病気を早期に発見します。早期発見と適切な治療で子供さんを障害の発生から守ることが可能となったのです。島根大学名誉教授の山口清次邑智病院院長は、この分野における我が国の第一人者であることをご存知ですか?
 どんなに厄介な病気でも、満足度の高い医療を介して地域のWell-beingの実現を図ること、これが私たちの使命です。

島根大学医学部附属病院

病院長 椎名 浩昭

島根大学医学部附属病院 病院長 椎名 浩昭