眼鏡技術者協会島根支部講習会

2019年9月19日に眼鏡技術者協会島根支部の皆様に対し講習を行いました。
島根県,鳥取県の眼鏡店に勤務される認定眼鏡士30名の方に対し,「ロービジョン・視覚補助具使用体験」と題した実技講習を行いました。 島根県のロービジョンケアのネットワーク,当院のロービジョン外来,現在,印刷・配布の準備段階である 「見る不自由さをサポートする冊子」についての話をした後に,クリアファイルを切り抜いた白濁シートを眼前に置き, 見えにくさおよび視覚補助具の体験をして頂きました。以下,参加者の感想を抜粋します。

(参加者の方からの感想)
・ロービジョンの方のご苦労が今日の講義を通して実感できました。そういう方々が少しでも生活の質の向上を望んでいることは当然のことであり, 悩みの相談や視覚補助具を紹介していくことも眼鏡店として大事な役割であることが分かりました。

・大変勉強になりました。ロービジョンという言葉は知っていましたが,簡単なファイルで体験する事で, 不自由さ大変さについて身をもって知ることが出来ました。一番大切だと感じたのは,「患者さん」私たちでいうと「お客様」の気持ちをまず知ること, 困っていること,大変さを共有することで少しでも見えるようになるお手伝いをすることです。日々営業をしていると,視力の出にくいお客様はおられます。 その方に諦めるのではなく,こんな方法もありますよ…と伝えることが大切だと感じました。今より少しでも見えるように, 眼鏡では無理でも別の方法を提案し相談する所がありますよ…と,視力の出にくいお客様の背中を押してあげることが大切だと思います。 必要な場合,パンフレットをお渡しし活用したいです。

・ロービジョン全体のことが把握できる講習会でよかった。見えにくさ体験でロービジョンの方の立場になれた。 補助具も実際に使用してみることが出来た。補助具の使用法のアレンジ等も聞けて良かった。眼鏡店として何をしたらよいか,何が出来るのかということが具体的にわかり良かった。

・ロービジョンの体験や補助具を使用させていただき,より理解が深まりました。眼鏡店は視力障害の方と出会う,生活に密着した訪れやすい場所なので、 しまねビジョンねっとの一役になれたら,よろこんでお手伝いしたいと思えました。ロービジョンの方の暮らしの困難さ,サポートの必要性,心のケアなど, 改めて見えることの大切さ,その方の生活のクオリティが向上するよう支え合える社会を築いていく必要性を感じました。大学病院の先生から垣根を越えて連携していく前向きさ, 行動力に感銘いたしました。ぜひ協力させていただきます。素晴らしい講習をありがとうございました。

(視能訓練士 安井愛佳)
まず,見えにくさを体験して頂きその感想として,暗いところで黒いコードが見えにくかった,振込用紙の薄い文字や枠が見えにくいという意見があり, 普段はあまり意識しないコントラストは,見えにくさで困っているひとにとって重要なことだと感じました。
また,「動いている物が安全か危険か判断できないのでこわい」「ぼやけていると見ようとする努力をしたくなくなる」との意見もあり, 外出するのが億劫になったり,やる気が出なくなったり,気持ちの面もかなり変わってくることが分かりました。
次に,様々なルーペや拡大読書器,タイポスコープ,遮光レンズを試して頂きました。あまりロービジョングッズを知らない方や, 知っていても実際に見たり触れたりする機会がなかった方もおられ,「これなら見える」と感動されていました。「これなら見える」という感覚があるとやる気が出, 気持ちも前向きになれると感じました。
実際に体験することで,見えにくさで困っているひとをより近く感じることができ,ロービジョングッズを使用し,見える喜びを感じ,参加者された方は大変喜ばれていました。 また,感想を共有することで,たくさんの見え方に対する意見を聞くことが出来,私自身も大変勉強になりました。
眼鏡店と医療との連携がとれる良いきっかけの講習会だったと感じました。

最後に,今後,島根県では,ロービジョンケアの一環として,見えにくさを抱える方々に対し,「見る不自由さをサポートする冊子」を配布する予定です。 視覚障害は情報を得ることの障害に直結します。眼鏡店に来店された視覚障害の患者さんが,適切なサポートを受ける事ができるようにネットワークの構築を急ぎたいと考えています。

原克典





     
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