島根大学医学部眼科学講座

研修医１年目の先生全員が論文アクセプトになりました

2020年11月4日、今年度入局してくれた先生３人がそれぞれ筆頭著者として論文を投稿し，無事アクセプトになりました。
石田晃子先生は，低侵襲緑内障手術の一つであるマイクロフックトラベクロトミーについて，遷延性低眼圧が稀な合併症として起こりうる事を症例報告で示しました^１）。 また，最新の術中OCTを用いた観察により，マイクロフックトラベクロトミーで切開される線維柱帯の形状が３つに分類されることを報告しました^２）。
市岡昇先生は，角膜乱視のある緑内障患者さんでは，マイクロフックトラベクロトミーと同時に行う白内障手術で乱視矯正用のトーリック眼内レンズを用いる事で， より良好な裸眼視力が得られることを総計学的に示しました³⁾。
高柳佑士先生は，老化や糖代謝異常のマーカーである糖化終末産物（AGEs）を，新しいAGEs測定器であるAGEsセンサを用いて指先で測定した結果が， 糖尿病網膜症の中でも特に進行した患者さんで高値となることを約400人の解析で明らかにしました⁴⁾。
いずれの報告も独自性が高くかつ臨床的意義が大きい研究成果だと思います。また，眼科医１年目で筆頭著者としての論文が出ること自体がそうそうあることはありません（私の最初の論文は眼科医６年目でした）。 臨床家としても手術の腕前がどんどん向上している３人ですが，研究者としても大変良いスタートが切れたと思います。今後の活躍が楽しみです。

谷戸正樹

1) Ishida A, Mochiji M, Manabe K, Matsuoka Y, Tanito M. Persistent Hypotony and Annular Ciliochoroidal Detachment After Microhook Ab Interno Trabeculotomy. J Glaucoma 2020 Sep;29(9):807-812.

2) Ishida A, Sugihara K, Shirakami T, Tsutsui A, Manabe K, Tanito M. Observation of Gonio Structures during Microhook Ab Interno Trabeculotomy Using a Novel Digital Microscope with Integrated Intraoperative Optical Coherence Tomography. J Ophthalmol 2020 Jul 17;2020:9024241.

3) Ichioka S, Manabe K, Tsutsui A, Takai Y, Tanito M. Effect of Toric Intraocular Lens Implantation on Visual Acuity and Astigmatism Status in Eyes Treated with Microhook Ab Interno Trabeculotomy. J Glaucoma 2020 Oct 7. Online ahead of print.

4) Takayanagi Y, Yamanaka M, Fujihara J, Matsuoka Y, Gohto Y, Obana A, Tanito M: Evaluation of relevance between Advanced Glycation End Products and Diabetic Retinopathy Stages using Skin Autofluorescence. Antioxidants 2020 Nov 4. In press.