公開講座名 物忘れと栄養,脂肪酸分析に関する研究
実施責任者 橋 本 道 男 (環境生理学)
山 下 一 成 (島根県立看護短期大学
実施協力者 片 倉 賢 紀 (環境生理学)
実  施  内  容
(研究要旨)
地域在住高齢者を対象に認知機能,食事栄養調査,脂肪酸分析の関連について横断調査および1年間の縦断調査をした。
平成16年度では,島根県の海岸部,中山間部の2地区において検討した。脳血管障害の既往のない中等度から軽度の認知機能障害を有する高齢者134名において,改訂長谷川式簡易知能スケール(HDSR)とDHA/AAにおいては,年齢の影響を補正しても有意の相関が見られた。
平成17年度では,平成16年度の調査地区に加えて,隠岐島において,横断調査と縦断調査(2年連続検診参加者95名)を行った。HDSR下位項目のうち計算の項目と赤血球膜脂肪酸EPA,DHA/AA,EPA/AAとは有意の正相関(p<0.005),AAとは有意の負相関(p<0.001)を示した。HDSRの1年間の変化で改善群29名,不変群47名,悪化群19名の3群に分け比較検討したところ,脂肪酸では,3群間で有意差を認めなかったが,食事栄養の比較では,蛋白質,n-3系脂肪酸,魚介類,調味料の項目において,改善群のほうが悪化群に比べてそれぞれの摂取量が有意に高値であった(p<0.05)。
魚介類の摂取は認知機能低下の進行を遅らせる可能性があると思われる。
備  考 ポスター等