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先進的医療


人工尿道括約筋AMS800について

AMS800

前立腺がんの手術後に尿失禁で困っている方に
 高齢化、食生活の欧米化、診断法の進歩とともに早期前立腺癌がんの患者さんが増加しています。それに伴って、標準的治療の一つである、前立腺全摘術の実施件数も増加しています。
 この手術に伴う合併症である“尿失禁(尿もれ)”は手術後の患者さんの生活に質(QOL)に関わる大きな課題です。島根大学医学部泌尿器科では前立腺癌の手術方法について、以前から積極的な取り組みを行ってきました。より低侵襲な術式として会陰式前立腺全摘術を早期に導入し、2012年11月からはda Vinciを用いたロボット支援前立腺全摘術を開始しています。技術の進歩に伴い、手術から1年以内に9割以上の患者さんは失禁が改善するようになりました。しかしながらいかなる術式を用いても、紙オムツを手放せない重度の尿失禁が1-3%程度生じてしまうとされています。
 その術後尿失禁の根治治療とされるのが人工尿道括約筋埋め込み術です。この手術では尿道の周りにシリコン製のカフを巻き付けその中に液体を充填することで尿道を“閉めて”、失禁を保ちます。尿が貯まると陰嚢内のコントロールポンプを操作すると尿道が“開いて”排尿できます。手術は全身麻酔下に行い、所用時間は3-4時間程度です。入院期間は1週間以内で、埋め込んだ人工括約筋を実際に作動させるのは手術後約6週間後になります。
 尿失禁で困っていた方がオムツから開放されるため、患者さんの満足度の高い治療法です。当院は中四国地方では初めて「人工尿道括約筋の埋め込み術」が先進医療として認定され、治療を行ってまいりました。2012年4月からは保険適応となり、高額な医療費を負担することなく、通常の医療費で治療が受けられるようになりました。前立腺癌の手術後、尿失禁で悩んでいる方がおられましたら、是非、ご相談ください。
人工尿道括約筋AMS800の仕組み

da Vinciを用いたロボット支援手術について

da Vinci

島根大学医学部附属病院泌尿器科では2012年11月から、手術支援ロボット「ダヴィンチ」を用いた前立腺がん手術を開始しました。

この手術では従来の開腹手術にくらべて

  • 傷が小さい
  • 出血量が少ない
  • 神経機能(尿禁制・勃起機能)などへの影響が小さい
  • 手術後の回復が早い

ことなどが期待できます

傷が小さい
従来は開腹手術が一般的でした。そのため術後も大きな手術痕が残っていました。しかし、ロボット支援手術では腹部に鉗子を挿入する小さな穴を5ヶ所開けるだけですむため手術痕はほとんど目立ちません。
出血量が少ない
前立腺は骨盤の一番深いところにあり、恥骨と膀胱の隙間から覗き込むように行うため非常に視野が悪く操作が困難で、前立腺の周りには太い血管があるため、出血しやすいという問題がありました。ロボット支援手術では内視鏡によつ良好な視野で緻密な操作が行えるため、出血が少なくてすみます。
神経機能(尿禁制・勃起機能)などへの影響が小さい
従来の手術でも術後合併症である尿失禁、性機能障害を軽減するための工夫がなされてきましたが、ロボット支援手術では拡大された3次元立体画像で奥行きを読み取って鉗子を動かすことができ、人の手以上の可動域があり、手ブレ防止機能も有する鉗子で操作することにより、スムースで精緻な手術操作をすることができるようになったため、これまで以上に尿禁制、勃起機能の温存が期待できます。
手術後の回復が早い
以上のようなメリットがあるため、結果的に手術後の回復が従来の手術よりも早く、入院期間も短縮されます。
  • 尿道と膀胱の吻合手術
    • 尿道と膀胱の吻合手術
    • 従来の腹腔鏡手術では鉗子の動きが制約される
    • da Vinciでは、360°の方向に滑らかに運針できる

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※ ロボット支援手術が全ての患者さんに適しているとは限りません
詳しいことは泌尿器科専門医、島根大学医学部附属病院泌尿器科までお問い合わせ下さい

光力学診断(PDD)について

PDD

image001.png光学診断.png 光力学的診断(Photodynamic diagnosis: PDD)は光感受性物質を体内に投与後、腫瘍に特異的に取り込まれた同物質に対して励起光を照射して発生する蛍光波長を検知することにより肉眼的には認識困難な腫瘍を診断する方法です。光感受性物質として用いられる5—アミノレブリン酸(5-Aminolevulinic acid: 5-ALA)は動植物の生体内に含まれるアミノ酸の一種で、赤ワインやかいわれ大根、お茶、お酢等の食品に多く含まれています。泌尿器科領域では、PDDは膀胱上皮内癌などの平坦病変を中心とした新しい診断法として発展し、筋層非浸潤性膀胱癌においてはメタアナリシス解析により、診断率の向上とそれに伴う残存腫瘍の減少による非再発率の向上が明らかになっており、ヨーロッパのガイドラインで膀胱上皮内癌の診断において推奨され、我が国では高度医療(第3項先進医療)となっており、当院においても現在申請中です。
 国内でPDDを行うことのできる施設はまだ非常に限られていますが、当院では2011年7月より膀胱癌に対して5-ALA経口投与によるPDD併用の経尿道的膀胱腫瘍切除術を開始しており、また腎盂癌や尿管癌に対する尿管鏡検査にもPDDを用いています。安全性に問題はなく、通常の白色光では診断が不可能であった病変を、蛍光励起させることによって視認、診断し、かつ確実に切除できるようになりました。特に平坦病変では、PDDを追加することで、通常の白色光で同定できない腫瘍を検出可能となり、当院ではこれまで約34%の追加腫瘍を新たに発見できています。
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肉眼でははっきりしない病変を、PDDでは赤色調の病変として捉えることが可能

島根大学泌尿器科の成績

島根大学泌尿器科の成績