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■精巣腫瘍

精巣に発生するがんで、10万人当たりの発生率は1 - 2人、20 - 40歳代の青壮年期に大きなピークが有ります。原因は不明ですが、危険因子としては停留精巣、精巣の発生異常、家族に精巣がんの方がおられること、クラインフェルター症候群また、片側の精巣にがんを生じた患者さん等が報告されています。精巣がんは精巣内の精子を造る精細管上皮細胞から発生し、大きくセミノーマと非セミノーマに分けられます。 後者の方が転移を起こしやすく、より悪性の経過をとります。

症状

痛みを伴わない精巣のしこりや、腫れで気がつかれる場合が多い病気です。腫瘍が大きくなると下腹部の不快感や、精巣の痛みを伴うことが有ります。また、広い範囲に転移が出現すると、腹痛や呼吸困難、首のリンパ節の腫れ、体重減少、腫瘍の産生するホルモンの影響で乳首の痛みや腫れなどがみられることがあります。

診断

血液検査

精巣がんには、LDH(乳酸脱水素酵素)、 AFP(アルファ胎児性蛋白)、hCGβ(hCGβサブユニット)などの腫瘍マーカーがあり診断や治療効果の目安となります。

画像検査

超音波検査やMRI等が局所診断に有用とされています。また、MRI検査やCT検査、骨シンチグラフィーを用いてリンパ節や骨を含めた遠隔転移の有無を診断します。また、最近ではPET/CT検査が小さながんの検出や治療後の残存を検索に役立つとする報告もありますが、がんの種類により有用性は異なるようです。

治療法

130306泌尿器科グラフイラスト_追加ol_01-01.png精巣がん治療ガイドライン 精巣がんの治療は、まず高位精巣摘除術を行って組織型を決定することから始まります。高位精巣摘除術とは、局所における再発や播種をさけるため、足の付け根の鼠径部を切開し、精巣に向かう血管を遮断してから、精巣の摘出を行う手術法です。 精巣摘出後の追加治療(化学療法、放射線療法)は、病期と組織型によって異なります。たとえ手術時点で転移がみられなかった場合でも再発リスクが高いと判断された患者さんでは、放射線療法や化学療法の追加をすすめる場合もあります。
また、転移を有する場合には、シスプラチンを中心とした併用化学療法を手術や放射線療法と組み合わせて行います。

■陰茎がん

陰茎から発生するがんで、男子尿路悪性腫瘍の2-8%とされ、わが国においては人口10万人当たり0.4-0.5人の発生頻度で60歳台に最も多くみられると報告されています。危険因子としては衛生状態不良(包茎による慢性炎症など)、性的習慣、ヒトパピローマウイルス(HPV)ヘの感染、喫煙等が有り、特に喫煙者の発症リスクは非喫煙者の2.8-4.5倍程度高くなるとされています。ほとんど全て(95-97%)の陰茎がんは扁平上皮(普通の皮膚と同じです)由来です。

症状

初期には痛み等の症状はなく、痛みを伴わない潰瘍や腫れ物などとして自覚されます。陰茎皮膚の兆候は様々で、カリフラワー状の塊(腫瘤)として外方へ発育するものや湿疹様の発赤から次第に深部へ浸潤していくものもあります。
がんが広がりをみせると痛み、尿線の狭小化、リンパ節の腫脹、全身倦怠感や体重減少などがみられます。

診断

生検

病変部より組織を採取して診断の確定をおこないます。

血液検査

陰茎がんの特異的な腫瘍マーカーはなく、採血結果も正常範囲内であることがほとんどです。しかし、リンパ節転移や遠隔転移を有する進行例では、血液中のSCC抗原(扁平上皮がんのマーカー)が高くなる場合が見られます。

画像検査

超音波検査やMRI検査によって局所の浸潤(白膜、海綿体、尿道への浸潤)の程度を診断します。またMRI検査やCT検査により鼠径部や骨盤内のリンパ節転移、さらには遠隔転移の有無を検索します。最近では、PET/CT検査は陰茎がんの局在診断・リンパ節転移の診断に有用であると報告され始めています。

治療法

手術

原則は取り残しが無いように病変部から十分な距離をとって切除し、可能な限り排尿や性機能を温存することです。浸潤のない表在性のがんであれば包皮環状切除術 (包茎に対する手術と同じです)、腫瘍切除、レーザー療法などによる陰茎温存治療が可能な場合もあります。陰茎の先端近くにできたがんでは陰茎を途中で切断して治療(陰茎部分切除)が適応となる場合もあります。一方、浸潤がんでは陰茎を根部から切断する治療(陰茎全摘)が行われ、会陰部に新しい尿道の出口を作成するため、術後は女性と同じように座位で排尿することになります。
画像検査等でリンパ節転移が疑われる場合にはリンパ節を摘除します。当院では、がん部と正常部位との境界の判断や、リンパ節病変の検索にICG蛍光造影法を応用しています。

放射線療法

比較的表在性の小さな腫瘍に対して行われる場合があります。また、化学療法との併用で行われる場合もあります。

化学療法

手術後や放射線療法との併用で行われる場合があります。また、すぐには手術が難しい進行例では、まず化学療法を行いがんの縮小を図ってから手術を行うことも考えられます。