本文へスキップ

会頭挨拶

第53回日本小児東洋医学会学術集会へのお誘い

会頭 上田 晃三
松山赤十字病院 救急部/小児科
愛媛大学医学部附属病院 漢方外来

   

「こども」に寄り添う「東洋医学/漢方診療」を目指して

 

 小児科の主な診療対象は「こども」です。「こども」の最大の特徴は、「成長する」ことと「発達する」こと、つまりは「未熟である」ことです。未熟であるが故に、成長・発達の過程で、本人の素質に加えて様々な環境要因の影響を受けるため、こども達はみんな各々の特性を得ながら育っていきます。これらの特性の中には、元気いっぱいで少々のストレスにも動じることなく生き生きと過ごせるこどもがいれば、日常生活は過ごしているけどなんらかの体調不良を抱えているこどももいれば、明らかな健康上の問題(疾病)を持つこどももいます。私達(医師)の一般診療では、通常何らかの疾病に罹患して(症状を訴えて)来院するこども達を対象とするため、明らかな発症前の体調不良(未病)に対して介入することはほぼありません。「上医医国、中医医民、下医医病」(中国の六朝時代の陳延之の著書「小品方」より)のなかでは、『下医』しかできていないのが現状です。

 漢方診療を行う傍らで、小児の内分泌疾患の診療にも携わっています。一部の疾患では治療薬の微調整に難渋し、どうしても体調が安定しきらない場合もありますが、多くはホルモンのバランスさえ調整すれば、普通に生活しているこども達と同じような状態で、定期的に外来に受診してくれます。そんなこども達を診察するときに、普通に問診をして聴診器をあてて検査データを確認するという診察だけではなく、積極的に「舌」を見せてもらったり、「脉」を触らせてもらったりするようにしてきました。舌に大きな変化が出てくることはあまりありませんが、“あれ?こんなに緊張した脉だったっけ?”とか“今日はゆるゆるな脉をしてるなぁ”といった脉の変化から、「頭痛とかめまいとかない?」や「だいぶん疲れてる?」といった問いかけをすると、「えっ?(なんで分かるんですか?)」という反応だったり、「別に・・・」ということもあります。こうした東洋医学的診察所見の変化を感じつつ、それと関連した体調の変化を教えてもらうことで、診察手技の勉強をさせてもらっています。さらに、近年は小学校や中学校での成長曲線健診(身長・体重の推移から特に内分泌的な疾病をスクリーニングするシステムです)をきっかけで来院するこども達が増えてきています。内分泌学的な診察・評価を行い、必要に応じた西洋医学的対応をしていきますが、こういったこども達のほとんどが普段は医療機関を受診することがありません。そのため、「せっかく病院に来たんだし、何か他に体調面で困っていることは無い?」と尋ねると、「実は最近学校の給食のときだけお腹が痛くなるようになって…(小学校4年生女児)」とか「引っ越ししてから夜驚症(実際には睡眠時遊行症の症状だった)がひどくて…(小学校4年生男児)」といった困りごとを教えてもらったりもします。前者には抑肝散への反応から児がストレス環境に曝されていることが判明し、環境調整を行うことで愁訴の改善が、また後者にはエキス剤で甘草瀉心湯の方向性を試したところ速やかに症状の寛解が得られました。これらの経験を通じて、東洋医学なら解決の手がかりが得られるような困りごとを抱えているこども達(大人もですが)が世の中には数多く潜在しているのではと感じています。

 今年私が担当させていただく第53回日本小児東洋医学会学術集会では、テーマを【「いで湯と城と文学の街」から発信する「こども」に寄り添う「漢方診療」】として、こども達の健やかな成長・発達に、東洋医学がどういったお手伝いができるかを考えていきます。このことは、これから日本を、そして世界を担っていく「こども達」を元気にしていくことで、『上医医国』にもつながっていくのではと期待しています。

 松山市には、日本最古の温泉といわれる道後温泉をはじめ、正岡子規や夏目漱石、種田山頭火、秋山好古・秋山真之など多くの歴史上の人物と関連した史跡・資料館、そして現存12天守の一つである松山城など、数多くの観光スポットがあります。開催日は3連休の中日に設定していますので、ぜひとも全国から当地・松山へ足をお運びください。

ナビゲーション

学会事務局

島根大学医学部小児科

〒693-8501
島根県出雲市塩冶町89-1

TEL: 0853-20-2220

FAX: 0853-20-2215
jpoms@med.shimane-u.ac.jp