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会頭挨拶

第54回小児東洋医学会学術集会へのご案内

会頭 池野 一秀
(長野松代総合病院 小児科・思春期漢方外来 )

♪信濃の国は十州に 境(さかい)連ぬる国にして 聳(そび)ゆる山はいや高く 流るる川はいや遠し♪

これは、長野県民になじみ深い県歌「信濃の国」の歌い出しの一節です。第54回日本小児東洋医学会学術集会は、誕生して満150年を迎えた長野県・長野市にて開催いたします。

県歌にも歌われている通り、長野の一番の宝は、厳しくも美しい豊かな自然です。長野駅に降り立つと、木々が届けてくれるフィトンチッドの清々しい香りが鼻をくすぐります。澄んだ空気と水、そしてフォッサマグナから湧き出る大地のパワーは、全国屈指の長寿の源でもあります。五感を心地よく刺激する自然の“気”を感じていただくだけでも、長野に足を延ばす価値は十分にあると感じております。

私は小児科医として、新生児から小中学生まで幅広く診療に当たってまいりました。近年は、体の成長に対して心の成長が追いつかず、不調を抱える子どもたちが増えています。小児科領域における心身の問題の深刻化は、現場の先生方も日々実感されているところではないでしょうか。

その点、漢方薬は新生児期から大人まで、心身の双方へ柔軟にアプローチできる強い味方です。当院の「思春期漢方外来」では、中学卒業後も症状が続いている方や、高校進学後に新たな悩みを抱えた方など、それまで相談先に悩んでいた“医療難民”ともいえる方々を広く受け入れてきました。

受診者の過半数は高校生で、その9割以上を女性が占めています。看護師さんたちからは、「女子高生祭り」とか「美少女外来」と揶揄され、「先生、かわいい子ばっかり集めてんでしょう」と的外れな批判もされますが、診療を通じて、心身ともに健やかになって笑顔を取り戻していく姿を見るのは、医師として何よりの喜びです。若年人口の少ない地方にも関わらず、患者さんの中からはローカルアイドルや全国区で活躍するアイドルグループのメンバーも複数誕生しており、元気に羽ばたいていく姿を頼もしく見守っております。

こうした現場での実践から、今回の学会テーマは「思春期女子の健康」といたしました。思春期女性の診察に少し難しさを感じている男性医師も少なくないかもしれません。しかし、長年悩んでいた症状が漢方で和らぎ、ご本人やお母様に喜んでいただけたときの笑顔は、医師にとってかけがえのない「GIFT(贈り物)」となります。今回は小児科医だけでなく、婦人科や精神科領域、薬剤師など、思春期女性の心身に寄り添う多くの先生方にご参加いただきたいと考えております。

プログラムも充実した内容をご用意しました。

特別講演には女性漢方治療の第一人者である木村容子先生を、ランチョンセミナーには中医学にも造詣の深い水嶋丈雄先生をお迎えします。シンポジウムは「女性の美と健康」をテーマに、ヨガインストラクターの野池言恵(ことえ)先生による実演や、森蘭子先生による皮膚疾患の漢方治療の講義を予定しております。さらに特別ゲストとして神田橋條治先生へのインタビューを行い、トラウマによるフラッシュバックへの活用で知られる「神田橋処方」について詳しくお伺いします。

また、開催地の長野市は、明治43(1910)年に『医界之鉄椎』を著し、近代漢方復興の先駆けとなった和田啓十郎先生の出身地でもあります。学会翌日のエクスカーションでは、「信濃路の奥つ方に漢方復興の偉人 和田啓十郎先生を偲ぶ」と題し、通常の観光ツアーでは味わえない秘境の地をご案内する特別企画をご用意しております。

地方開催であり、「思春期女子の健康」という焦点を絞ったテーマではございますが、今回だからこそ体験できる特別な学びと交流の場をご用意して皆様をお待ちしております。ぜひ小児科に限らず、漢方に関心のある先生方、そしてご家族の皆様もお誘い合わせの上、お越しいただければ幸いです。皆様とお会いできることを心より楽しみにしております。

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