中四国地方で初めて「人工尿道括約筋の埋め込み術」が先進医療として認定されました。

公開日 2010年12月15日

(平成22年12月15日:報道発表)

泌尿器科 安本博晃 井川幹夫

 高齢化、食生活の欧米化、診断法の進歩とともに、早期前立腺癌と診断される患者さんは増加しています。それに伴って、標準的治療の一つである、前立腺全摘術の実施件数は増加の一途をたどっています。

 この手術の後に生じる“尿失禁(尿もれ)”は大きな課題でした。技術が進歩するにつれて、手術から1年以内に9割以上の患者さんは失禁が改善するようになりました。しかしながら現在でも、紙オムツを手放せない重度の尿失禁が1-3%程度生じてしまうとされています。

 


人工尿道活約筋 AMS800 人工尿道括約筋は重度の尿失禁に対する唯一の根治的治療で、尿失禁で困っていた方がオムツから開放されるため、患者さんの満足度の高い治療法です。今後、広く普及することが期待されます。
人工尿道括約筋埋め込み術では尿道の周りにシリコン製のカフを巻き付けその中に液体を充填することで尿道を“閉めて”、失禁を保ちます。尿が貯まると陰嚢内のコントロールポンプで液体を抜くと尿道が“開いて”排尿できます。手術は全身麻酔下に行い、所用時間は3-4時間程度です。入院期間は7日間、埋め込んだ人工括約筋を実際に作動させるのは約6週間後になります。

 当院は中四国地方では初めて「人工尿道括約筋の埋め込み術」が先進医療として認定されました。前立腺癌の手術後、尿失禁で悩んでいる方がおられましたら、是非、ご相談ください。

尿をためている時

排尿するとき

排尿した後