RFIDタグを利用した個体管理システム 島根大学附属病院へ世界初の本格導入

2011年4月1日

(平成23年4月:最新治療) 

材料部 大平 明弘

 

 かねてより小林祥泰病院長が手術器具にRFID(RadioFrequency IDentification「電波による個体識別」の略)タグを取付け個体管理を実現する鋼製小物管理システムの導入を検討されていましたが、手術器械にRFIDタグをつけた管理システムを活用し、手術器具のトレーサビリティの実現、手術器具資産の効率的運用、そして作業者の方々の負担軽減の効果が期待されます。 

 RFIDとは、ID情報を埋め込んだRFタグから無線技術を使用して、離れた場所から情報を取り込む技術です。 

RFIDを取付けた鋼製小物

 鉗子などの手術器械やガーゼの体内への置き忘れ事故が、手術1万件に1件くらいの割合で起きていると報告されています.1回の手術で数十種類、約50本~100本の手術器具を使いますが、そのすべてを術前、術中、術後に看護師が手作業で短時間にカウントすることが求められています。器材数が合わないと体内への器具置き忘れ事故を誘発するだけでなく、患者、医療従事者の双方に時間的、精神的負担を強いる事になります。また繰り返し使われている機器の劣化、精度低下があります。手術器械にRFIDタグをつけた管理システムを導入することにより、器械の個別管理が可能となり、器械の使用頻度、回数、耐用年数を把握できるようになります。 

 東京医療保健大学で行われた実験で、セラミックICタグの特徴が報告されています。このタグは耐熱・耐寒性で、-196℃~+200℃での使用が可能です。また一般の樹脂タグや有機ゴム製タグに比べて、耐薬品性、耐油性に優れています。ダイアモンドに次ぐ堅さのセラミックが内部のICタグを守ります。細菌やウィルスに対しても衛生的で高温や薬剤による殺菌にも耐える性能が備わっています。他の素材との大きな違いは汚れなどで情報が消える事がありません。器具の完成品ではセラミックICタグを収めたステンレス製のホールダーをレーザー溶接します。 

 このシステムにより、手術器具の使用履歴を明らかにすることで、手術に対する病院の基本姿勢が高く評価されると期待できます。 

 この方式は欧米を大きく引き離す可能性があり、島根大学医学部では全国国立大学の中で初めてRFID方式の導入が決定されました。全国的にも注目を集め、他の数カ所の国立大学病院でも採用が検討されています。