新放射線治療システムの稼動開始について

公開日 2006年06月01日

(平成18年06月:最新治療) 

放射線科 教授 北垣 一 ・ 助教授 内田 伸恵 

 いよいよ新しい装置による放射線治療が本年6月中旬からスタートしました。新たに、腫瘍の範囲に合わせて5mm単位で細かく照射野の形状を決定できます。また、定位照射により頭部の小さな病変を高い精度で治療できるようになりました。以下に新放射線治療システムについてご紹介致します。
 開院時以来の旧放射線治療装置は長年使用不能でしたが、このたび平成18年3月末に更新されました。今回の新放射線治療システムは放射線治療装置(リニアック、写真1)の他、治療計画装置、治療用CT、脳定位照射システムなどから構成されています。装置購入後、所轄官庁の立入り検査、ビームデータの取得、初期設定入力などの準備を重ねてきましたが、6月中旬より稼動開始となりました。 
 新リニアックは、放射線開口部の5mm幅の割箸状の鉛をコンピュータ制御で動かすことにより、自在な形状のビームを作ることができます(写真2)。従来のリニアックでの矩形照射野に比べて腫瘍の形状に合った照射範囲を設定できるため、正常組織の照射を減らすことができます。このため、より安全な照射が可能で、さらに腫瘍への照射線量の増加が可能な場合もあります。 
 さらに、脳定位照射システムでは、脳腫瘍や脳動静脈奇形など頭頸部小病変に対して、最小4mmのビームで集中照射が可能です。病変を切除した様に治療可能なため、Xナイフやリニアックナイフとも呼ばれています。肺や肝臓の腫瘤に対する体幹部定位照射は現在はできませんが、装置を追加購入すれば可能となります。 
 がん治療も「治ればよい」から「QOLを保つ治療を受け社会復帰する」ことを目指す時代となっています。患者様に優しい医療を目指し、山陰唯一の放射線腫瘍学会認定施設の名に恥じない、高精度で良質な放射線治療を提供していきたいと考えています。 

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