新生児・乳児の患者さんに負担の少ない心臓外科手術

公開日 2023年12月28日

 心内奇形を伴う大動脈縮窄(図1) や大動脈離断症における大動脈の再建は、①心停止下に行えば、血管組織に余裕があり、良好な視野は得られるものの、心臓には負担がかかり、②大動脈部分遮断/ 心拍動下に行うと、心臓の負担は少ないものの、吻合(ふんごう/血管や神経をつなぐこと)の際の血管組織の余裕が少なくなります。

 

 このような問題点を解決するため、当院小児心臓外科では、2020年より通常の脳分離送血に加えて、選択的冠動脈送血を併用(図2)することで、心拍動下に、かつ血管組織の余裕がある良好な視野での大動脈再建手術を行っています。2023年9月末までに、生後7~86 日(中央値10日)、体重は2.0~3.4kg (中央値2.6 kg)のお子さん6名に実施しましたが、全員吻合部狭窄や反回神経麻痺などの合併症はなく、無事軽快退院となりました。

 

 人工心肺に少しの工夫が必要ですが、良好な視野で吻合でき、かつ心臓に負担の少ない本法は、大動脈縮窄症や離断症を合併した先天性心疾患の外科治療に有用と考えています。

 我々は山陰唯一の小児心臓外科手術を実施する施設として、これからも先天性心疾患を持つ患者さんの外科治療に尽力いたします。

 

 

図1         図2

 

 
【お問い合わせ】心臓血管外科(小児心臓外科)医局 TEL:0853-20-2225