公開日 2017年12月04日
平成29年11月20日、本学は人工知能(AI)による画像診断技術を用いた早期認知症判別方法の開発に向けた共同研究契約を株式会社ERISA(松江市)および公益財団法人ヘルスサイエンスセンター島根(出雲市)と締結し、記者会見を行いました。
本共同研究は、医学部内科学第三が研究主体となり、ヘルスサイエンスセンター島根が蓄積してきたMRI画像データをAIで学習させ、株式会社ERISAと共同で認知症自動判別プログラムを構築し、2019年度中の実用化を目指すものです。
すでに開始されている本研究では、脳の萎縮を評価する「MRI構造画像」について当該プログラムを用いた結果、健康な方と認知症の方を91%の正答率で判別できました。
また、脳の血流変化を測定する「MRI機能画像(fMRI)」でも定領域解析の手法で中程度の正答率が得られ、異なる施設でも識別が可能であることが示唆されました。
今後の研究では、「MRI機能画像(fMRI)」をAIで学習させ、早期認知症患者を高い精度で識別させることを目指します。
認知症のMRI画像診断はこれまでは目視で行われ、医師の熟練度に頼っていましたが、プログラム完成後は、補助的診断が得られることにより、認知症の早期診断・早期治療が期待できます。また、サービスが実用化された場合は、旅客運送業の運転手の安全管理、認知症治療薬の創薬支援など、様々な事業展開が見込まれます。
2025年、日本国内の65歳以上の認知症患者数は推計約700万人に達するとされており、健康寿命の延伸は社会的課題です。対総人口あたりの高齢者数が上位の島根県での先進的研究事業として注目されます。
記者会見の様子(左より、ヘルスサイエンスセンター島根理事 小林祥泰氏、株式会社ERISA代表取締役 河原八郎氏、島根大学長 服部泰直、ヘルスサイエンスセンター島根理事長 広沢卓嗣氏)