公開日 2021年12月21日
生化学講座病態生化学分野の加藤太陽助教が、日本遺伝学会の第93回Best Papers (BP) 賞を受賞致しました。本学同分野の浦野健教授、明星大学理工学部の清水光弘教授との共同研究の成果を遺伝学会大会で講演したところ、発表内容が評価されたものです。
発表演題
ケミカルハイブリッドモデルによるヌクレオソーム配置予測
概要
ヒトを含む真核生物の染色体は、約147塩基対のDNAがヒストンというタンパク質の8量体に約1.7周の超らせんとして巻きついた「ヌクレオソーム」を構成単位として、核の中に収納されています。ヌクレオソームは、それ自身の配置や内包するヒストンの翻訳後修飾を通して、エピジェネティック制御の根幹に関わります。従来、ヌクレオソームは転写(RNAポリメラーゼによる遺伝情報の読み取り)を妨げうるものと捉えられていましたが、近年の報告は、DNAの部分的解離など、ダイナミックなヌクレオソームの構造変換が起きることを示しています。本研究では、ヌクレオソーム構造の対称性を乱すヌクレオチドの並びに注目してヌクレオソームの安定化要因を探り、転写領域にはヌクレオソームのプロモーター側半分に適したDNA配列が周期的に配置されていることを見出しました。転写にはDNAとヒストンの一時的な解離が不可欠ですが、それにも関わらずエピジェネティックな記憶を保つことができるよう、ゲノムが巧妙に作り上げられていることが示唆されます。
受賞内容の詳細は、遺伝学会発行の「遺伝学のパラダイムシフトを目指して」の次号に掲載される予定です。
掲載予定URL
本研究は、科研費・基盤(C)、新学術領域(公募研究)の支援を受けています。
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