公開日 2023年09月26日
島根大学医学部解剖学講座(神経科学)藤谷昌司教授、大谷嘉典助教、Ngo Xuan Huy歯科医師(歯科口腔外科学講座)、石原弘基医師(大田市立病院、元リハビリテーション医学講座)らの研究グループが、ボツリヌス療法の治療効果をマウスで延長することに成功しました。
ボツリヌス療法は、さまざまな神経筋疾患の治療やリハビリテーション、さらには美容の分野でも用いられています。一方で、神経筋接合部が再生するため、A型ボツリヌス毒素(BTX)の効果が減弱し、何度も注射が必要になります。しかし、IGF1R(インスリン様成長因子1受容体)を特異的な抗体で抑制すると、神経筋接合部の再生が阻害され、麻痺効果が継続します。
【本研究成果の意義】
IGF1Rの抑制によるBTXによる筋の麻痺効果の持続時間延長は、BTXの注射回数や全体の投与量を減少させることで、臨床的に非常に有益であると考えられます。リハビリテーション医学領域のみならず、美容の領域などでも応用可能な技術ではないかと考えています。
タイトル:Blocking insulin-like growth factor 1 receptor signaling pathway inhibits neuromuscular junction regeneration after botulinum toxin-A treatment
著者名:Hiroki Ishihara, Yoshinori Otani, Kazuki Tanaka, Hisao Miyajima, Huy Xuan Ngo, Masashi Fujitani
雑誌名:Cell Death & Disease 誌 (Springer Nature社)
オンライン掲載:2023年9月 16日
https://www.nature.com/articles/s41419-023-06128-w
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