公開日 2024年12月18日
免疫細胞ががん細胞を攻撃するためには、抗がんT細胞が効率よく活性化する必要があります。そのためには、樹状細胞ががん抗原を取り込み、リンパ節に遊走しT細胞へ抗原提示を行います。抗原提示を受けたT細胞は活性化し、リンパ節からがん局所へと遊走し、がん細胞を攻撃すると考えられています。
今回、本学医学部免疫学講座 飯田 雄一助教のマウスモデルを用いた研究により、ケモカイン分子CCL19を産生する間葉系細胞(MSC/CCL19)療法の非常に高い抗腫瘍効果が認められました。ケモカインCCL19分子により、腫瘍内に樹状細胞およびT細胞が効率よく集積され、抗がんキラーT細胞が多く誘導されていることが確認されました。
患者さん自身から採取した間葉系細胞にCCL19を発現させ、がん治療に用いる自家移植では、甚大な時間と費用を必要とします。本研究では、第三者由来(アロ)MSC/CCL19のがん治療応用の可能性を探索しました。解析により、アロMSC/CCL19はアジュバントとしての作用を持ち、サイトカインIL-12を産生する樹状細胞を増加し、抗がんキラーT細胞の活性化に寄与していることを発見しました。固形がんに対するアロMSC/CCL19療法は、治療にかかる時間と費用を抑える可能性を秘めており、セルバンク化を目指したレディーメード療法が期待されます。
本研究成果は、2024年12月9日に科学雑誌Journal for ImmunoTherapy of Cancerに掲載されました。
◆詳細はこちら
https://jitc.bmj.com/content/12/12/e009683
◆本件に係る問合せ先
免疫学講座 助教 飯田 雄一
電話 0853-20-2690
Mail yiida@med.shimane-u.ac.jp