2026.07.12
2026年7月12日、第22回山陰緑内障フォーラムが開催されました。
本フォーラムは、島根県・鳥取県の緑内障診療に携わる医師が集まり、日頃の診療や研究について議論する会です。
今回は演題の方向性が実に多彩で、症例検討会というよりも、充実した講演会のような構成となりました。
一般演題は、正常眼圧緑内障の治療方針、私からは早期の段階から行う緑内障手術介入、そして血管新生緑内障の治療についての3題でした。
それぞれ対象とする病態や治療の考え方が異なり、緑内障診療の幅広さを改めて感じる内容でした。
特別講演には、東京慈恵会医科大学の西島義道先生をお招きしました。
西島先生といえば、視野検査プログラムの開発や人工知能を用いた研究で著名な先生です。
そのため、私はてっきり視野検査を中心としたお話だと思い込んでいました。
ところが講演は、ラットやサルを用いた視神経再生研究から始まり、新たな視野検査プログラムの開発、さらに大規模な視野検査データを用いた解析へと展開しました。
基礎研究から臨床応用までを一気に駆け抜ける内容で、「これは1時間に収まる話なのだろうか」と心配になるほど壮大でしたが、見事にまとめられた講演に圧倒されました。
なかでも個人的に強く印象に残ったのは、現在の視野検査結果に、視野障害の進行パターンや眼圧などの情報を組み合わせ、
将来どの部位に視野障害が出現し、どのように進行するかを予測する研究です。
西島先生は、これを「天気予報のようなもの」と表現されていました。
現在、天気予報は外出前に確認する欠かせない情報となっています
。同じように、将来の視野障害の部位や進行パターンを具体的に予測できれば、患者さんへの説明や治療方針の決定にも大きく役立つと考えられます。
現在の緑内障診療では、視野障害が年間にどの程度進行しているかという「進行速度」を示すことが一般的です。
それに加えて、「次にどこが、どのように悪化する可能性があるのか」まで示すという考え方は、非常に興味深いものでした。
西島先生には、基礎研究、視野検査、データ解析という幅広い領域にまたがる貴重なお話をいただきました。
今後、これらの研究がさらに発展し、実際の緑内障診療に取り入れられていくことを楽しみにしています。
杉原 一暢

