島根大学医学部整形外科学教室
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トップページ研究内容 > 診療・研究グループ > 上肢(肩・肘・手)
研究内容
診療・研究グループ
上肢(肩・肘・手) 脊椎脊髄外科 股関節
膝関節 足・足関節 腫瘍
上肢(肩・肘・手)

文:山上信生
  青木 陽

上肢グループでは、肩・肘・手の疾患の治療を担当しています。代表的な疾患について解説いたします。


@肩の疾患

反復性肩関節脱臼:軽微な外力や動作で肩が外れそうに感じたり、実際に外れてしまうような不安定感、易脱臼性を生じ日常生活に支障がでているような患者さんに対して治療を行ないます。保存的治療では安定性の獲得は難しく、手術が必要です。手術は、はがれて緩んでいる関節唇や靱帯を修復する手術です。小さい皮膚切開で、関節鏡でみながら修復する「関節鏡視下関節唇修復術」を行なうことが多いですが、ラグビー、柔道といった再脱臼リスクの高いスポーツをする患者さんに対しては、より制動性の高い直視下手術を行っています。

肩腱板断裂:腱板が断裂していても、症状が軽減することも多いため、すぐに手術は行わず、まずは保存的治療を行います。疼痛に対しては鎮痛剤やステロイド注射で緩和を試みます。また可動範囲が減少している場合は、リハビリで可動域訓練を行なったり、残っている腱板が断裂している腱板を補う事ができるように腱板機能訓練を行います。数か月保存的治療を行っても、症状が改善しない場合は手術を行います。当院では、小さい皮膚切開で、関節鏡でみながら断裂した腱板を修復する「関節鏡視下腱板修復術」を行なっています。


また、肩が痛く、挙がらない患者さんの中には、腱板断裂が進行した広範囲腱板断裂や、さらに関節の軟骨もすり減っている腱板断裂性変形性肩関節症の方もおられます。このような患者さんには上記の「関節鏡視下腱板修復術」が困難です。その場合、三角筋という肩の筋肉を利用することで肩を挙げることができる「リバース型人工肩関節置換術(反転型人工肩関節置換術)」を行います。アメリカでは2004年から使用が開始され、日本では2014年4月から認可されている新しい術式です。リバース型人工肩関節置換術は日本整形外科学会の定めるガイドラインに規定された要件を満たした医師しか執刀できない治療法であり、島根県内でも手術可能な病院が限られています。当院では基準を満たしており、リバース型人工肩関節置換術を行うことが可能ですので、患者さんの状態に応じて行っております。

リバース型人工肩関節置換術
肩関節の丸い部分と受け皿の部分が正常とは反対の構造になります。

 
A肘の疾患

肘部管症候群:肘部管症候群は中高年の男性に多い神経障害です。肘内側を通る尺骨神経という神経が圧迫され、小指と薬指の半分がしびれ、進行すると手の筋肉がやせてきます。手の筋肉がやせてくると細かい動作ができなくなり、箸が持ちにくい、ボタンがとめにくいなど日常生活動作に支障が出てきます。治療は症状が軽い痛みやしびれのみの時には、鎮痛剤やビタミン剤を内服します。手の筋肉がやせてきている場合には、進行を止めるため手術を行います。手術は神経の覆っている膜を切離して圧迫を取り、肘をまげた時の緊張を緩めるために、肘の前方へ神経の通り道を移動させます。当院では、筋肉のやせが強い患者さんに対して、つまみ動作を改善させるために腱を繋ぎ変える手術(腱移行術)も同時に行っています。

※日本手外科学会「手外科シリーズ」から画像を引用しております。


野球肘:野球肘は投球動作によって起こる肘関節障害の総称であり、成長期の野球少年のオーバーユースによって生じることが多いです。投球時に、内側では伸張ストレスにより内側の靱帯損傷による痛みを生じ(内側型野球肘)、外側では衝突により肘関節外側の軟骨や骨がはがれて痛みを生じます(外側型野球肘)。野球肘患者さんの身体的特徴として柔軟性の低下があげられます。成長期には骨が急速に成長するのに比べ、筋・腱などの軟部組織の成長が遅く、とくに下肢・体幹の柔軟性が低下します。下肢・体幹のエネルギーが十分使えない状況になり、上肢に頼った投球となって障害発生にかかわっていると考えられています。内側型野球肘に対しては、リハビリが主な治療法となります。一定期間の安静の後、理学療法による上下肢の体幹を含めた柔軟性の向上や投球フォームの指導を行います。初期の外側型野球肘に対しては安静が重要で、少なくとも6ヵ月間は投球を禁止し、肘負荷の禁止を厳密に行います。進行した外側型野球肘に対しては手術方法が必要となり、当院では膝から採取した骨軟骨柱を移植する手術(モザイクプラスティ)を行っています。ほとんどの患者さんが術後に野球に復帰することができており、安定した治療成績が得られています。


外側型野球肘 術前のCT(矢印:病巣部)


膝からの骨軟骨柱移植後のCT
 
 
B手の疾患

手根管症候群:手根管症候群は、中高年女性に多い神経障害です。手首の中央を通る正中神経という神経が手首で圧迫されて起こります。親指から薬指の半分までのしびれを生じ、しびれは明け方に強くなるという特徴があります。圧迫が長期間続くと、親指の付け根の筋肉がやせてきて、親指の動きが悪くなります。治療としては、神経の回復を促すビタミン剤や鎮痛剤を内服します。夜間や明け方のしびれ痛みが強い場合は、装具を使用したり、ステロイド注射をしたりします。これらの治療を行っても症状が改善しないときは手術を考えます。手術は、圧迫の原因となっている厚い膜を切開する手術です。当院では、筋肉のやせが強い患者さんに対して、親指の動き改善させるために腱を繋ぎ変える手術(腱移行術)も同時に行っています。

※日本手外科学会「手外科シリーズ」から画像を引用しております.

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