トップページ > 検査室紹介 > 生理検査室 > 神経生理
神経生理検査・詳細

arraw4 神経伝導検査

 ▼概要

 末梢神経を皮膚上で電気刺激し、誘発された電位を記録して、伝導速度、波形の振幅・持続時間、遠位潜時などを測定します。運動神経刺激によって筋肉で誘発される波形を検査する運動神経伝導検査(MCS)と、感覚神経自体の電位の波形を検査する感覚神経伝導検査(SCS)とに大別されます。当院での被験神経は下記の通りです。

  MCS:正中神経、尺骨神経、(橈骨神経)、脛骨神経、腓骨神経
  SCS:正中神経、尺骨神経、(橈骨神経)、腓腹神経、(脛骨神経、腓骨神経)

 ▼注意事項

・検査オーダー時には下記セット項目から必要な検査を選択し、検査項目、神経名、刺激側(左、右、左右)を必ず入力して下さい。
  DMセット、手根管セット、肘部管セット、上肢セット、下肢セット

arraw4 F波検査

 ▼概要

 運動神経伝導検査で導出されるM波が、運動神経刺激に対する筋の直接反応であるのに対し、F波は両方向性伝導でα線維を逆行性に伝導したインパルスが脊髄前角細胞自らを興奮させ生じた自己興奮インパルスが同じ運動神経線維を順行性に下行して誘発した筋の活動電位です。脊髄前根部から腕神経叢までの近位部や、神経全長を評価する目的でF波が用いられています。当院で検査している神経は下記の通りです。

  正中神経、尺骨神経、脛骨神経、腓骨神経

 ▼注意事項   

・検査オーダー時には、下記セット項目から必要な検査を選択し、検査項目、神経名、刺激側(左、右、左右)を必ず入力して下さい。

   セット名:F波上肢、F波下肢

arraw4 反復刺激

 ▼概要

 神経・筋接合部の機能の評価に用いられています。運動神経と筋の接点である神経・筋接合部は、神経終末の細胞膜(シナプス前膜)と、筋形質膜(シナプス後膜)とが間隙をはさんで接しており、アセチルコリンによって興奮が伝達されています。正常な場合には刺激周波数や刺激回数が増減しても誘発筋電図上M波の振幅・面積は一定に保たれますが、疾患などによっては漸減現象や漸増現象が見られます。当院で検査している神経は下記の通りです。

  正中神経、尺骨神経、脛骨神経、腓骨神経、顔面神経

 ▼注意事項   

・検査オーダー時には、下記セット項目から必要な検査を選択し、検査項目、神経名、刺激側(左、右、左右)を必ず入力して下さい。

  セット名:反復刺激上肢、反復刺激下肢

arraw4 表面筋電図

 ▼概要

 表面電極を用いて筋の活動電位を導出します。この方法により、筋全体の活動を連続して、また、多チャンネルで同時記録することができ、特に中枢性の運動障害を検索するのに有用です。上位中枢の障害による不随意運動、筋緊張異常、随意運動障害などを明らかにするために活用され、四肢や顔面などに不随意運動が見られる場合に有用です。また、この検査は針電極や電気刺激を用いないので、疼痛を伴わないという利点があります。一方、この方法では針筋電図のように運動単位の波形を分析することは困難です。

 ▼注意事項   

・医師施行の検査です。

arraw4 針電極筋電図

 ▼概要

 針電極を用いて筋の運動単位電位を導出分析します。運動単位のうち脊髄運動神経細胞の細胞体、運動神経、筋の障害を針電極筋電図でそのいずれの障害であるかを判別できます。また、この検査は針電極を用いますので、疼痛を伴います。

 ▼注意事項   

・医師施行の検査です。

arraw4 聴性脳幹反応

 ▼概要

 聴覚神経系を興奮させることによって得られる脳幹部での電位を頭皮上より記録します。蝸牛神経と脳幹部聴覚路由来の反応で音刺激から10msecの間に発生する6縲鰀7個の電位により構成されます。
 この反応は、意識や睡眠状態の影響を受けにくく、極めて再現性のよい安定した波形が得られます。聴性脳幹反応は、各波形の起源も明らかにされており、診断的価値が極めて高く、難聴や脳幹障害の診断や、乳幼児の聴覚障害のスクリーニングにも使われています。

 ▼注意事項   

・検査オーダー時には、刺激方法(左右片側、両側)を選択して下さい。
・小児は鎮静が必要で、基本的に閾値測定を行います。
・ポータブル検査を希望される場合は、コメントに記載して下さい。

arraw4 体性感覚誘発電位

 ▼概要

 感覚神経を末梢部で皮膚表面から刺激し、感覚野に対応する頭皮上から加算平均法により誘発電位を導出します。末梢神経から脳幹、大脳皮質に至る長い神経路の機能障害の検索などに用いられます。体性感覚誘発電位は、短潜時成分とそれ以降の中潜時および長潜時の成分とがあり、前者を短潜時体性感覚誘発電位(SSEP)、後者を長潜時体性感覚誘発電位(SEP)といわれています。当院で検査している神経は下記の通りです。

  正中神経、脛骨神経

 ▼注意事項

・検査オーダー時には、下記オーダー項目から必要な検査を選択して下さい。

  SEP上肢、SEP下肢、SSEP上肢、SSEP下肢

・基本的に、上肢は正中神経、下肢は脛骨神経を検査しますので、その他の神経を希望される場合は、コメントに記載して下さい。

arraw4 視覚誘発電位

 ▼概要

 網膜に光刺激を与えた時に大脳視覚領に生じる反応で、500msec以内に反応波形が認められる。刺激方法により、パターンリバーサルVEPとフラッシュVEPに分けられる。導出されるP100 は、臨床応用に際して最も重要な成分で、その潜時や振幅が視神経病変、視交叉部病変、視交叉後病変などの疾患の診断指標となります。  

 ▼注意事項

・検査オーダー時には、刺激方法(左右片側、両側)を選択して下さい。

arraw4 脳波(ポータブル脳波)

 ▼概要

 脳波は、大脳皮質の表層に生じる自発的電位変動を頭皮上電極から記録したもので、大脳機能の指標の一つとして考えられています。脳波検査は、てんかん、脳腫瘍、脳損傷、脳血管障害、睡眠異常などを評価する極めて重要な検査法です。1997年に「臓器の移植に関する法律」が成立して以降は、法的脳死判定において脳波による脳電気的無活動(ECI)の確認が脳死判定基準の必須項目となっており、脳波検査があらためて重要視されています。当院も臓器提供施設であり、近く実現するであろう法的脳死判定に備えて、脳死判定用チェックリストを作成し、それに基づいたトレーニングやシミュレーションを行っています。

 ▼注意事項

・検査は完全予約制です。当日検査を希望される場合はご相談下さい。
・検査オーダー時に、賦活の有無を必ず記載して下さい。また、賦活禁忌の場合は必ずコメントをして下さいますようお願い致します。

arraw4 24時間脳波

 ▼概要

 24時間脳波検査はビデオ脳波同時記録を基本とし、一般的にてんかん発作を記録する目的で実施します。発作症状と脳波を同時に記録することにより、てんかん発作の診断および治療効果の判定に非常に有用であるとされています。当院でも、平成21年度より24時間脳波検査を積極的に施行しています。
 24時間脳波検査の対象となるのは、てんかん疑いあるいはてんかんの既往がある患者で、臨床症状からてんかん発作が疑われるが短時間の発作間欠時脳波ではてんかん波形を認めない場合、全般てんかんと局在関連てんかんを鑑別する場合、てんかんの治療効果を判定する場合です。

 ▼注意事項

・1日につき1オーダー限定です。休日前のオーダーは原則受けられません。
・検査は入院していただから病室にて行います。検査開始時刻を13時としています。