WLB取り組み実践例

各部署のWLB取り組み実践例をご紹介。

ワークライフバランス週間で行った活動の一つ「各部署のWLB取り組み実践例」には、多数の部署から回答がありました。
その中から、1部署ずつピックアップしてインタビューを行い、定期的にご紹介します。
ぜひ、他部署の取り組みもご覧になって参考にしてくださいね。

 

 

 

総合医療学編

全ては気づきから
始まります!

具体的な取り組み内容を教えてください。

毎月1週間、ワーク・ライフ・バランスウィークを設定し、その週末はなるべく休みをとり、家族との時間を持つようにしています。

取り組みを始めたきっかけは何ですか?

以前、コーチングを受けた経験がワーク中心の生活を見直すきっかけとなり、家族との時間を大切にするように意識を変えました。
個人的な思いはあったのですが、昨年、WLB支援室で行ったWLB週間の活動の一つ「各部署のWLB実践例」に回答したことを機に講座としても取り組むこととしました。
ワークだけでなくライフも大事にする、漠然と過ごしていると多忙な業務に忙殺されかねない中で、ワーク以外の時間を確保するよう心がけています。

取り組みを始めて何か変化はありましたか?

11月から取り組んでいますが、組織として職員のWLBに対する改善点に気づくようになったり、自分のワークに上限を設けるようになりました。
自分に負荷をかけすぎ心身共に疲弊すると、重大な事故を招く恐れさえありますから。
患者のQOL(クオリティ・オブ・ライフ)向上は言われて久しいですが、医師のQOL向上も必要ではないでしょうか。

ワークライフバランス実現のためにまず、ワーク偏重な現状に気づくこと

  • ↓ WLB実現のためとりあえず何かやる
  • ↓ 誰かの目にふれるよう宣言する
  • ↓ 皆の意識が変わる
  • ↓ やろうと思っても(やっても)変わらない
  • ↓ なぜ?
  • ↓ 新たな取り組みを始める

全ては気づきから始まります!
事務室に入ると先生方の似顔絵が迎えてくれます。

総合医療学講座助教 木島 庸貴医師 (2015/2/23)

 

 

看護部(放射線部・光学医療診療部)編

どんどん変えていく。
常に改善、改善!

具体的な取り組み内容を教えてください。

4月より、新たに2人の新人看護師を迎え、放射線部・光学医療診療部には22名の看護師・看護助手が配属されています。
看護部が推進しているPNS(パートナーシップナーシングシステム)が導入できるように、部署の枠を超え、両部署がひとつのチームとして協力し合っています。
こうすることにより、効果的、効率的な人員配置ができるようになりました。
さらに昨年度は、看護部が掲げている年間休暇取得日数の目標である12日をクリアしました。今年度もクリアしていきたいと思います。

取り組みを始めたきっかけは何ですか?

この2部署は一人の看護師長が兼任していましたが、人員配置を含め業務は全く別々でした。
両部署とも主に検査を業務とする部署ですが、放射線部は下部内視鏡の検査等で午後忙しく、光学医療診療部は上部内視鏡の検査等で午前に忙しい部署です。
しかし、お互い忙しくても部署を超えての応援は、ほとんどありませんでした。
H26年度、放射線部の看護師長として配属されたのを機に、協力しあえないものかと考えました。
まず、2部署間で忙しい時に相互応援する体制を作りました。
しかし「応援」のままでは、「あくまでも応援は応援、自分の部署は部署」という固定概念を拭うのは容易ではありませんでした。
そこでH27年度より、応援という形ではなく1チームとして活動し、検査オーダー数を見ながら、部署の垣根を越え人員を配置するようにしました。

取り組みを始めて何か変化はありましたか?

業務の効率化が図れ、超過勤務も減ってきました。超過勤務が減ると余裕が生まれ、ひいては患者さんの安心・安全に繋がってきました。
そして、チームで助け合うことで、お互いを知り、意見を言いやすい雰囲気ができました。

後輩のみなさんに伝えたいこと

私自身は長い間、病院と家とを往復する仕事中心の生活でした。2年前、看護部WLB推進委員会のメンバーとなったことで、研修会等に参加しWLBを考える機会を得て、推進する立場となりました。
後輩のみなさんには、看護の専門性を高めるとともに、社会の一員として自覚を持ち、毎日に生活を大切にし、趣味を持ち、本を読み、たくさんの人に出会い、充実した時間を過ごしてほしいと思います。
次の曲がり角を曲がると何があるか分からない。でもきっと何かいいこと、楽しいことが待っていると思いますよ。

ワークライフバランス実現のために

管理者は皆が生き生きと働きやすい職場環境を作ることが責務だと思います。
自分の価値観を人に強いらず、一人一人の違いを受け入れ、思いやる気持ちを大切にしていきたいと思います。
看護という素晴らしい仕事と生活の両立を実現することにより、好ましい相乗効果が生まれることを期待しています。
その実現に向け、管理者だけでなく私達一人一人が現状をどんどん変えていく、改善、改善です!

看護部放射線部 糸賀かおる看護師長 (2015/5/8)

 

 

解剖学講座発生生物学編

業務の効率化で
みんながハッピーに!

具体的な取り組み内容を教えてください。

解剖学講座では、16時終了予定の学生実習が週1~2回、19時頃まで延長します。昨年度まで、延長時には3名の教員全員が残って指導していましたが、本年度より当番制とし、1名の教員に任せるようにしました。
他の教員は自分の業務を行ったり、早めに帰るよう努めています。

取り組みを始めたきっかけは何ですか?

今年の4月から第1子が就学するにあたり、地域の学童クラブに18時までに迎えに行かなければならないため、夕食付で夜間帯まで延長保育があった保育所に通所していた頃のように働くことができなくなりました。
そこで、講座内で話し合い、実習延長時に当番制を導入しました。当番の時は出雲市のファミリーサポートセンターを利用し、学童クラブから大学へ送迎をお願いしています。
子どもが学校に慣れてきたのを見計らって、今後は本学の学童一時保育の利用も考えています。
また、保育所やファミリーサポートセンターへの依頼は原則前月末までのため、17時以降の会議や休日の待機当番の年間予定表を作成しました。

取り組みを始めて何か変化はありましたか?

教員全員の実習に伴う超過勤務が週1~2回から、月2~3回へ減りました。
業務の効率化を図ったことで、男性教員も研究や講義準備などに時間がさけるようになりました。

ワークライフバランス実現のために

大事なことは、子育て世代が無理なく働けるよう業務全体を見直し、効率化を図ることです。
その結果、子育て世代のみならず、職員全員が平等にその恩恵を受けることができます。
支援に偏りがあったり、逆に支援がほとんどなかったりすれば不平等感、疲弊感で不平不満もたまりかねません。
幸い私の場合、職場の上司・同僚の理解のもと、講座を挙げてサポートしていただいています。
私も大学に貢献できるよう4月から環境マネジメントシステム(EMS)、安全衛生委員会のメンバーとなりました。
「一人はみんなのために、みんなは一人のために」話し合いながら解決策を見つけていくことが大切だと思います。

解剖学講座発生生物学助教 小川 典子医師 (2015/6/24)

 

 

リハビリテーション部編

いつかは自分も・・・
お互い様

具体的な取り組み内容を教えてください。

患者さんのリハビリは担当制で行っているため、担当者が休んだ時には、誰でも対応ができるよう知識・技術力の底上げを図り、情報を共有しています。
そのために、定期的に部内の勉強会を開き、基本的な医学知識を共通事項として押さえています。
また、受け持ち患者の疾患について、1職員に同様の症例が偏ることがないよう配慮しています。
そして、学会・研修会への参加を奨励し、リフレッシュ休暇取得推進に努めています。

取り組みを始めたきっかけは何ですか?

現在、リハビリテーション部の職員は医師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、技術職員、看護師、事務職員合わせて30名在籍しています。
以前より職員は増えたものの、1人の患者さんが持つ障害は複雑で多岐に渡っており、利用者数も年々増加傾向にあります。
部内に多くいる子育て時期の職員は、どうしても私生活と仕事のバランスをとることが難しくなるため、育児部分休業制度を利用したり、男性職員は妻の出産時に係る休暇(配偶者出産休暇・育児参加休暇)を取得するようになりました。
休暇や休業を取得する職員が増える中、担当者が休んだ時に誰でも対応ができるような環境作りが必要でした。

取り組みを始めて何か変化はありましたか?

0年前に比べると職員数が増えたこともあり、休みはとりやすくなっています。
誰がリハビリ担当となっても同様の技術の質が確保でき、安心して任せられるため、休みやすさにつながっていると思います。
育児休業は女性のみならず、男性職員にも勧めており、これまでに2回の取得実績があります。

ワークライフバランス実現のために

お互い無理をしたり、ギスギスした気持ちで仕事をしても良い仕事はできないと感じています。
今、私は子育て時期が少し落ち着いていますが、大変な時期には周りの方々にたくさん助けていただきました。
女性だけでなく男性も、ベテランも新人もお互いさま精神で支えあえると良いですね。
皆がハッピーな気持ちで仕事に向かえるよう、応援したいと思います。

リハビリテーション部 伊藤郁子理学療法士 (2015/8/31)

 

 

薬剤部編

仕事の継続、
充実Life

具体的な取り組み内容を教えてください。

まずは、子育て支援として就学前の子を持つ女性薬剤師は、月に1回程度の当直業務、土日祝日(年末年始、GW含)の勤務が免除されています。
また、遠方から通勤する職員は、始業時刻を繰り下げる措置をとるなど、仕事と子育てが両立できるよう柔軟に対応しています。
あまり知られていませんが、薬剤師が常駐するのはC病棟1階にある調剤室・注射室・製剤室・薬務室のほか、各病棟フロア、外来診療棟3階の外来化学療法室等、複数の部門におよびます。
日々、ローテーションでその部門をまわっている中、数名のグループを組み、誰か休んでも他の誰かがカバーする体制を整備しています。
そして、各学会等の認定資格取得を推進し、チーム医療に貢献しています。

取り組みを始めたきっかけは何ですか?

現在、薬剤部は男性22名、女性16名、技能補佐員9名、総勢47名の大所帯です。特に大学卒業後1-2年目の薬剤師が13名おり、若い世代の多い職場です。
7年前に、私が第1子の産休・育休を取得した際、薬剤部職員の産休取得は30数年ぶり、育休にいたっては初めてのことでした。
それまでは、結婚とともに寿退職されることが多く、産休・育休を経て働く第1号となりました。
その後、育休取得者は4人に増え、私も含め第2子を出産する職員もいます。
仕事と子育ての両立、これからも増えるであろうママさん薬剤師のためにその土台作りが必要でした。

数年前までは、各部門での業務を固定したメンバーで行っていました。
しかし「病棟に常駐する」等、増加した業務を円滑に遂行するためには、それでは難しくなってきました。
誰でも病棟に上がって仕事ができるように、そして薬剤部内での業務も今まで通り行えるように、ローテーションでまわることになりました。

取り組みを始めて何か変化はありましたか?

日々、ローテーションで各部門をまわることで、多様な業務に対応できるようになり、自身のスキルアップにもつながりました。
それは、皆に言えることであり、部内のレベルアップにつながったと思います。
また、新人薬剤師も就職後すぐにさまざまな部署に配属され経験を積むことができ、新人教育にも力を入れることができています。

ワークライフバランス実現のために

私は現在も子育て真っ最中で、子供の病気等で急なお休みをいただくこともあります。
そんな時は申し訳ない気持ちでいっぱいになりますが、同じ環境にあるママさん薬剤師、私と同様に小さな子供を持つパパさん薬剤師、子育てのベテラン先輩薬剤師も多く、「お互い様だけん。」と言って業務を引き受けてくださいます。
後輩薬剤師にもすいぶん助けられています。「出産、育児休暇を経て、今まで通り仕事を続けていくことができるか」と不安になることもありましたが、薬剤部のみなさんに支えられて続けていくことが出来ています。
この7年間で子育てをしながらでも働ける、両立できる、後輩たちにそう思ってもらえるような道筋を作ることができたように思います。
私自身も出産・育児の経験を通してさらに興味を持つ分野もでき、その知識を深めるために勉強をしたり試験を受けたり、大変ではありますが充実した生活を送ることが出来ています。
それは、仕事を継続して行うことが出来ているからこそ味わえるものだと思います。
子育てだけではなく、それぞれがそれぞれの生活があることを理解し、仕事もそれ以外のことも充実していけるような職場づくりができるよう、応援していきたいと思います。

薬剤部 原 ゆかり薬剤師 (2016/1/19)

 

 

放射線部・薬剤部編

放射線部・薬剤部編PDFダウンロード

 

 

リハビリテーション部編

リハビリテーション部編PDFダウンロード

 

 

看護部編

看護部編PDFダウンロード

 

 

栄養治療室編

栄養治療室編PDFダウンロード

 

 

海外留学編

今回は趣向を変えて、イギリスのサウサンプトン大学に研究留学した際に感じた、働きやすさ、子育てのしやすさをご紹介します。

会議も講演会も、クリスマス会も全て日中に!

サウサンプトン大学の研究室では多くの女性教授や教員、研究員が結果を出しながら、明るく働いています。

留学して最初に研究室の使い方について説明を受けた時、試薬がこぼれるなど何かあった時に対応できるよう、実験は平日の日中にするように言われました。
そして、会議も講演会も基本的に日中開催です。開始と終了時間は正確で、時間内に効率よく話し合います。
時々夕方の講演会がありましたが、17時から1時間程度で、日本のように19時からなど遅い時間帯の開催ではありませんでした。

歓迎会も、夏のバーベキューも、秋のハロウィーンイベントも冬のクリスマス会も、全て日中開催です。
時間のある人が、来られる時間帯だけ集まって、近くのパブでフィッシュアンドチップスやハンバーガーを食べたり、大学のティールームで料理を持ち寄って食べながら、クイズや抽選をして楽しみました。

他の先生方より先に仕事を終えて帰る後ろめたさも、夜の会議や講演会に出られない疎外感も、遅くなる仕事や飲み会などで子供達の面倒をどうするか常に考えないといけない煩わしさも感じることなく、ストレスフリーな毎日でした。

イギリスは社会全体がチャイルドフレンドリーで、バスにはベビーカー用の置き場所があり、スーパーには子供用の無料フルーツが置いてあったりします。
バスや地下鉄では、子供を連れているとさっと席を譲ってくれます。
父親は、子供達を学校へ送迎したり、公園で一緒に遊んだり、週末家族みんなで買い物をしたりとイクメンが普通なので、主人も人が変わったようになって帰国し、子供達はすっかりパパっ子です(笑)。

ちょっとした工夫と思いやりでより良い社会になると実感した2年間でした。
現在の会議、症例検討会、抄読会などの時間を短くしたり、開催時間帯を変更したり、出席をローテーションにしたりして、皆さん、もっと働きやすい職場にしませんか。

解剖学講座発生生物学 小川典子