画像診断装置を基に行う低侵襲的検査あるいは治療であり,大きく血管内,血管外の治療に分かれ,血管内治療の代表として悪性腫瘍に対する抗癌剤の動注療法が挙げられます。
標的となる病変に血液を送っている動脈をカテーテルにて選択し,抗癌剤を注入します。
症例によっては塞栓物質を使用して抗癌剤の効果を高める治療を併用しています。閉塞性動脈硬化症における骨盤部や下肢の動脈狭窄あるいは動脈閉塞に対して経皮的動脈拡張術やステント留置術を行い,
下肢の重度虚血による痛みやしびれなどの症状の緩和,機能保持に役立っています。
その他,血管内IVRとして腎透析のシャント血管狭窄に対する経皮的血管拡張術,肝切除術前の経皮的門脈塞栓術,抗癌剤動注療法のためのリザーバー留置術,門脈圧亢進症に対するバルーン閉塞下静脈塞栓術,
脾機能亢進症に対する部分的脾動脈塞栓術,内視鏡による止血が困難な消化管出血に対する動脈塞栓術,腹部血管の急性塞栓症に対する血栓除去術,下肢静脈血栓に対する血栓溶解術,
肺塞栓症に対するIVCフィルター留置術,骨腫瘍術前の動脈塞栓術などがあります。血管外IVRとしてCTや超音波での画像をガイドとして行う臓器生検があります。前述の肺の他に骨,甲状腺,縦隔における生検を行っています。
また,縦隔,腹部に生じた膿瘍に対してCTガイド下に行うドレナージもこの範疇に入ります。これらの適応となる疾患に対し迅速に対応し,治療を行っています。
保険外診療になりますが,肺ラジオ波による肺悪性腫瘍の治療を行っています。適応は限られていますが,先端医療として注目されています。
CTとはエックス線管球が体の周りを回転しながらエックス線を発生し,体内を通過したエックス線を検出する装置です。 このとき,体内でのエックス線の吸収の度合をコンピュータ処理することによって,体を輪切りにしたような画像をつくりだすことができます。 CT装置が開発された当初は1断面を撮影するのに5分もの時間が必要でしたが、現在では0.3〜0.75秒の速さで複数の断面を同時に撮影することができるようになりました。 当院では320列の検出器を搭載したマルチスライスCT装置があります。高速な撮影が可能であり、撮影にかかる時間はおよそ10〜20秒です。 胸やお腹の検査では無理のない1回の息止めだけで鮮明な画像を撮影することができます。
検査内容によっては造影剤という薬剤を使用します。これは,CTで得られる画像にコントラストをつけるために用います。 造影剤は無色,透明な液体であり,その主な成分はヨード(海藻類に含まれるもの)です。 通常,造影剤の投与は100mlほどの量を注入器という機械を使い,腕の静脈内注射によって行われます。 注入の際,体が熱く感じますが,撮影後にはなくなりますので心配いりません。 ごくまれですが,造影剤の注入後にかゆみ,発疹,吐き気を生じることがあります.検査中は常に患者さんの状態を観察しており,万一,症状が表れたときには適切な処置がとれるようにしております。 その際にはご遠慮なくすみやかに検査担当医師・看護師にお知らせください。使用された造影剤は24時間以内にほぼ全量が尿中に排泄されます。造影剤の排泄を促すため,検査後は水分を普段より多めにとるよう心がけてください。
造影を使用する場合には,午前中の検査であれば朝食を,午後の検査であれば昼食を控えていただきます。 これは,万一,造影剤の副作用である嘔吐が生じた際に気道への誤嚥を防ぎ適切な処置を行うためです。 金属性のものを身につけている場合,撮影の部位によってはあらかじめ外していただく必要がありますのでご協力ください(ヘアピン,義歯,補聴器,エレキバン,金属製のボタン等)。 次の既往のある方は検査の前に担当医師・看護師に申し出てください。
・気管支喘息,アレルギー体質の方
・造影剤を使用したのち,気分不良などの副作用を経験された方
・肝臓や腎臓に病気がある方
・妊娠中の方,また,その可能性がある方
MRIは核磁気共鳴 (nuclear magnetic resonance, NMR) 現象を利用し,生体内の情報を画像化する方法です。
核磁気共鳴現象とは、磁気を人体に当てると体内にある水素原子核が微弱な電波を発生することをいいます。
MRIはその電波を受信して画像を作成します。MRIの画像はCT検査と一見よく似た画像ですが、CT検査では知ることができない多くの情報を得ることができます。
MRIは脳,脊髄,関節,骨盤部でとくにその検査能力を発揮し,病気の早期診断や精密検査として用いられています。
造影剤を用いることなく血管を明瞭に映し出すことができ,動脈瘤や血管の狭窄などの検出にも有効です。近年では脳内の神経線維の走行までも観察できるようになりました。
MRI検査はX線写真やCT検査と違って,X線被曝の心配がありません。現在のMRI装置の多くは1.5〜3テスラ (1テスラ=10,000ガウス。
ピップエレキバンが800ガウス)という高い磁場を使用しておりますが,使用する磁気や電波は無害とされており,五感で感じるものではありません。
ただし,金属やペースメーカーなどの装置が体内に入っている方はMRI検査を受けることができない場合があります。
核医学検査は放射性同位元素(Radioisotope:RI)を用いていることから,『RI検査』と称されたり,得られた画像をシンチグラムと称することから,『シンチ検査』などと呼ばれることもあります。
核医学検査は人間の体内の様々な臓器,組織における血流・機能・代謝などを調べることを目的としています。核医学検査で体内に投与される放射性医薬品には2つの性質があります。
ひとつはある特定の臓器や組織,悪性腫瘍,炎症などに取り込まれやすいという性質です。もうひとつは体内での放射性医薬品の局在(分布)を身体の外から観察できるようにガンマ線という放射線を放出する性質です。
投与された放射性医薬品の臓器や病変への集積程度は病変の良悪性の判断指標となります。レントゲンやCT検査が主に臓器や病変の形・大きさを表す形態画像診断法であるのに対し,核医学検査は臓器の機能や病変(腫瘍や炎症)の重症度などを表す機能画像診断法であるといえます。
体内に投与された微量の放射性医薬品が発する放射線を検出し,きめ細やかな画像を作り出すため,1回の検査に5〜30分間の時間を要します。
当科では心臓の検査に特化した半導体SPECT装置を山陰地方で最も早く導入しました。従来の心臓検査に比べて大幅に検査時間が少なく,より鮮明な画像を得ることができるようになりました。 日本国内でも本装置を用いた検査を受けることができる施設は限られています。
人の耳では聞こえないほど高い周波数の音波を使って体の中を調べる検査です。観察をしたい部分にゼリーを塗ってプローブ(探触子)と呼ばれる10cm程度の機械をあてて超音波を体の中に送り込み,その反射波を検出して画像にします。 放射線被曝が無く,痛みもなく極めて安全に行える検査です。 超音波検査でよくわかる臓器は肝臓,胆嚢,脾臓,膵臓,腎臓,前立腺,膀胱などの腹部骨盤臓器・甲状腺,乳房などの表在臓器,血管,心臓などの循環器であり,消化管の診断にも用いられます。
上部消化管造営と下部消化管造影があります。
主にバリウムを飲んで咽頭や食道、胃、小腸を観察する検査です。必要によって発泡剤を使用します。検査医が部屋の外からマイクで声をかけて、患者さんにはさまざまな体位をとって頂きます。 体の不自由な方の場合には検査医が検査室に入って体位変換を補助しながら検査します。バリウムを飲んだ場合には下剤を飲んでいただきます。検査で使用したバリウムが腸の中で固まってイレウスを起こさないためです。
肛門から短いチューブを入れて、その中に主にバリウムと空気を入れて主に直腸、結腸、虫垂を調べます。この検査の前には腸の中をきれいにするために検査食、下剤を飲んでいただきます。固形便が残っていると病変と紛らわしいからです。
患者さんと確かな信頼関係を築き上げ,安心して医療サービスを受けていただくために,個人情報の保護は非常に重要な課題です。当院は,個人情報を適切に管理することを社会的責務と考え,下記の基本方針に基づき,個人情報の管理を行い個人情報保護に厳重な注意を払っております。
制定日 2006年6月8日
改定日 2012年4月1日
島根大学医学部附属病院
病院長 井川 幹夫
当院では,患者さんの個人情報を以下のように取り扱います。上記の内容をご確認いただき,同意の上,診療申し込みいただきますようにお願い申し上げます。
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