有終会入会申込の皆様へのお願い

有終会入会申込の皆様へのお願い          

1. 献体されたご遺体のCT画像撮影についてのご説明とお願い

―死亡時画像診断(Ai(エーアイ):Autopsy imaging)―
 死亡時画像診断(Ai(エーアイ):Autopsy imaging)とは、ご遺体の全身のCT検査のことです。病院でお亡くなりになった場合、病理解剖しなければ正確な死因は分からないこともありますが、最近では画像診断が進歩したこともあり、入院患者さんの死因の詳細な究明のための病理解剖率が著明に低下し、大学病院ですら10%程度と以前の数分の1になっています。このため病院で亡くなられた患者さんにAiを行って死因の確認を行い臨床診断の精度を高めると共に、ご遺族にCT画像をお見せして死因の説明の透明性を高めることが必要です。警察の検屍でも法医解剖率は9%程度と極めて低い現状で、これに対応するためにもAiの導入が求められます。島根大学では全国に先駆けて、2011年7月に大学病院新棟の完成オープンに合わせて、霊安室の隣にAi専用のCT室を設置し、警察から依頼された検屍のためのAiと病院で亡くなられた患者さんのAiを行うこととなりました。
 さらにAiを医学教育にも活用するため、これも全国に先駆けて解剖実習のために献体されたご遺体のCT画像撮影も医学部に到着時に行うこととして、2010年度の有終会の理事会、総会で解剖学教授から趣旨をご説明し、ご承諾をいただきました。CT検査は短時間で終わり、ご遺体が傷つくこともありませんし、病院で経費を負担しますので経済的な心配もご不要です。このAiの目的は、CT画像を解剖学の教育に役立てようというものです。これから解剖させていただくご遺体のCT画像が教育に役立つ理由は、胸やお腹を開かなくても体の内臓などの位置や大きさが生前と同じように見えるため、予め準備して解剖ができることです。事前にCTで確認してから解剖を始めることが出来ると言うのは画期的なことです。さらに、この画像を解剖時に対比して見ることができればCTで見えた内臓などが実際にはどのようになっているのかが確認でき、医師になってから患者さんのCTをみて実際の臓器の変化を推測するために極めて有用です。このような解剖学教育を受けた医学生はCTなどの画像診断能力が今よりも確実に向上することが期待されます。このように多大な教育効果が期待されるご遺体のAiを快くご承諾いただいた有終会の皆様に御礼申しあげますとともに、新規に入会される皆様にも温かいご理解とご承諾をいただきますようお願い申しあげます。  

2. 「承諾書」(様式3)について

 近年、医療技術の高度化や内視鏡などの医療機器の急速な進歩に伴い、医師はさらに高度な手術手技・検査手技が要求され、より安全でリスクの少ない治療法の開発が求められる時代となってまいりました。そのため、大学は学生の教育のみならず、現役の医師に対しても広く教育・研究の場を提供する使命を負うようになってきております。本学においても、解剖で得られた成果を医学および社会に還元し、医学・医療の発展に大きく寄与するために、高度化した手術手技・検査手技の教育や新しい術式の開発につながる研究など、現役医師に対する新しい教育・研究プログラムにも力を注いでいこうという動きがおこってきています。また、篤志献体の研究への利用につきましても、日本解剖学会倫理委員会から「遺体の組織の一部などを研究に利用する場合は、献体者本人が研究に協力する意思があることを、事前に書面で確認しておく必要があります」という方針が出されています。
 そこで、本学でも献体者ご本人から、従来の申込書に加えまして、「承諾書」において「ご遺体を医師の教育・研究のために使用すること」、「遺体の一部が医学教育・研究のために使用または保存されること」について、皆様の自由意思によって、承諾をいただくことにいたしました。また、ご遺体のお引取りの際、ご遺族の方からも「解剖に関する遺族の承諾書」にて同様の内容についてご承諾をいただけるかをお伺いいたしております。(平成30年度の有終会総会で承認済み)
 なお、実施する研究は本学の医の倫理委員会で審議され、了承されたものに限ること、かつ使用させていただくご遺体はご本人の生前の承諾とご遺族の同意の両方が得られたものに限ることといたします。皆様方には手続き上お手を煩わせることになり、大変申し訳ございませんが、なにとぞご理解いただきましてご協力を賜りますよう、よろしくお願い申しあげます。


島根大学医学部解剖学講座