当院で初めて献腎移植を行いました。

公開日 2011年01月12日

(平成23年1月12日:報道発表)

泌尿器科  有地直子 井川幹夫

2010年11月に当院で初めて亡くなった人から提供された腎臓の移植(献腎移植)を行いました。当院は2009年4月に県内唯一の献腎移植認定施設として認定され、以降献腎移植に対する院内体制の整備と献腎移植の普及活動を推進してきました。腎臓は非常に重要な臓器で、何らかの原因で腎機能が廃絶した病態を末期腎不全と言い、末期腎不全とは治療を受けないと生命維持が困難な状態であることを意味します。その治療法としては、透析治療と腎移植の2種類があります。2009年末の透析患者数は290,675人で年々増加傾向にありますが、一方、腎移植は腎臓提供者(ドナー)が少ないために件数が伸びなやんでおり、末期腎不全患者さんの中には腎移植を希望しているものの、透析治療を余儀なく受けている人もいます。

今回当院で献腎移植を受けたのは60歳代の男性で、他県で亡くなられた人の腎臓を移植する候補者として日本臓器移植ネットワークにより選定されました。腎移植後3週間の透析治療を経て、徐々に腎機能が改善し、現在は透析が不要となりました。今回腎移植を受けた方と同様に、献腎移植を希望している末期腎不全患者さんは県内に38名います。しかしながら、県内の献腎移植はこの10年間でわずか4件であり、腎移植を希望する患者さんに移植医療を提供できない状況が続いています。現在、日本臓器移植ネットワークが腎移植候補者を選定する際に、腎臓の搬送時間を短縮することを目的としてドナー発生病院(ドナーの入院している病院)と同一の都道府県内の腎移植候補者が優先されるため、県内の献腎移植の推進には、県内での臓器提供が必要です。今回当院で献腎移植を施行したことで、多くの方が臓器提供について考えるきっかけとなり、県内の献腎移植が普及することで、献腎移植を待つ患者さんに希望に満ちた質の高い医療を提供できることを期待します。

献腎移植(PDF)

(腎不全の治療・透析患者数の推移・日本の献腎移植件数・中国地方における献腎移植の件数・献腎移植希望登録・献腎移植候補者選定基準・当院で行った献腎移植の流れ・臓器提供:意思表示の方法)を掲載しています。