病院長メッセージ「求められる医療」~新年度のご挨拶~

公開日 2024年04月23日

 島根大学病院の理念は、地域医療と先進的な医療を調和し、良質で安心・安全な医療を地域に還元することにあります。当院では、島根県の保健医療計画に沿って5疾病・6事業の医療提供体制の整備に加えて、在宅医療につながる高齢者医療の橋渡し的役割にも重点を置いた病院運営を行います。

 
 少子高齢化に対応しつつ過不足のない充実した医療を地域に提供することが我々の使命です。当院は県内でも最も公益性の高い病院であるため、その位置付けを乱すことのない病院運営が求められます。他院では難しい医療は当院が中心となって行うべきで、特に少子高齢化の影響でその存在が薄くなるようなことがないよう、小児医療の充実化を図ります。特に、小児心臓血管外科、小児外科あるいは小児脳神経外科などの特殊な小児医療には力を入れ、親子ともども安心して住めるような医療提供環境を整備します。

 また、緩和ケアセンターを中心に、人生の最終段階における医療・ケアのあり方を地域とともに考え実践して参ります。
 1989年11月に我が国で初めて行った生体肝臓移植は通常の医療へと展開いたしましたが、当院では諸事情により肝臓移植は行っておりませんでした。この肝臓移植の再開に向け医療提供体制の整備も行います。

 

 一方、地域の皆様からは、特に“待ち時間”に関するご不満を多く頂戴いたしました。この改善策として、料金後払いシステム「らく~だ」に加えてAIを用いた患者ナビゲーションシステム「愛ナビ」を本格的に稼働いたします。また、患者さんの情報(Personal Health Record)をご自身で管理・活用できるような体制整備を図り、病病・病診連携を介して、より地域に密着した利便性の高い病院運営を実践したいと思います。

 

 本年度から「医師の働き方改革」が新しい制度として始まります。”改革”という言葉が一人歩きしないよう、地域の皆様にはご理解をいただくとともに、職員のひとり一人が求められる医療に真摯に向き合い、我執を捨て患者さんの幸せを第一に考えられるよう利他行を積んで参ります。
 

 今後とも島根大学病院へのご理解とご支援を賜りますようお願い申し上げます。         

病院長

病院長  椎名 浩昭