現在、精神科医療の役割はこれまでにない拡がりをみせています。統合失調症や気分障害など主要な疾患の加療にとどまらず、リエゾンコンサルテーション(他科連携)、緩和ケア、周産期メンタルヘルス(産後うつ)、不登校や引きこもり、虐待、自殺対策、依存症治療、災害医療、医療観察法、超高齢化社会の中での認知症医療、労働者のメンタルヘルス(産業医)など、現代社会が抱える様々な問題の一端には、精神科医療が果たすべき役割があります。
実際に当講座では、リエゾンコンサルテーションの実践(緩和ケアチーム、周術期管理チームへの参画)、精神科救急患者への対応(当院救急部と高度外傷センターとの定期カンファレンスの実施)、また専門外来として、周産期メンタルヘルス外来(産婦人科と連携)、思春期外来(当院子どものこころ診療部と連携)、もの忘れ外来(当院認知症疾患センターと連携)、睡眠外来、ストレス外来など、多くの専門的医療を行っています。
先日、日本専門医機構から各都道府県別に専攻医の上限が示されましたが、少なくとも上記の精神科臨床業務を見た限りにおいても、現場のニーズは必ずしもこれに一致しないと考えています。つまり、これらの多岐な役割を果たしていくためには、まだまだ人手が足りないというのが現場の実感であり、次世代の精神科医師の育成は、待ったなしの状況です。
また大学として医学研究にも尽力しており、基礎研究から臨床研究にわたって、医局員の過半数が研究業務に携わっています。そして何より、今後精神科医師になられる先生方に、どのように精神科医療を受け継ぎ更に発展させていくか(教育)という点が、当講座の重要な役割の一つと考えています。志が芽生える中高生時代にはじまり、医学部生時代、そして初期研修医、専攻医へとステップアップするなかで、明日の精神科医療を一緒にディスカッションし、互いに研鑽を積んでいく仲間を募集しています。臨床、研究、教育と、活躍できるフィールドは数多くあります。精神科医療に少しでも興味のある方、どの切り口からでも構いません、是非当講座にご一報ください。
2019年6月18日記 稲垣正俊
三浦章子(教育担当)
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