公開日 2013年11月27日
救命救急センター病棟第一ユニット 渡邉 克俊
11月9日8時30分、瀬戸内海の安芸灘~伊予灘にかけてM7.2の地震発生の想定で、DMAT(災害派遣医療チーム)実働訓練が開始されました。DMATとは、大規模災害発生時に迅速な救援活動・医療支援を災害現場などでおこなう特別に訓練された医療チームです。当院のDMATは、医師・看護師・薬剤師で構成する7名の隊員がいます。
今回私たちは、一般の通信回線が遮断されていても通信可能な衛星携帯電話を使用し、EMIS(広域災害緊急医療情報システム)にログインして、厚生労働省が発信している緊急災害情報で寸断された道路がないか確認しながら南進、山陽自動車道沼田PAに参集しました。そして、災害拠点病院の県立広島病院DMAT本部の指示で、被災状況が確認されていない済生会広島病院へ移動し、状況調査と病院支援活動をおこないました。済生会広島病院は建物の倒壊もなくライフラインは全て保たれており手術や透析もおこなえる状態でした。救急外来には救急隊により赤トリアージの重症患者が9名、黄トリアージの中等症患者が7名搬送されてきていました。重症患者の内3名は緊急手術を要する状態であり、院内の手術設備では対応できず広域医療搬送を必要と判断し、県立広島病院DMAT本部へDMAT 2隊の追加要請をおこないながら支援活動を続けました。歩ける患者さんには自宅へ退院して頂いてベッドを確保し、病院スタッフと連携し入院ができる環境を整えながら被災者のトリアージと治療をして訓練を終えました。
本院は災害拠点病院としての指定病院です。災害時には他県のDMATが当院に参集し病院支援活動をおこないます。救急搬送される患者だけでなく、被災した重症患者を自家用車で連れてこられるケースもあり、病院内がパニックになることが想定されます。救急患者さんやDMATの受け入れがスムーズにできるよう病院全体で訓練しておくことが必要です。出雲は地震の少ない安全な地域と豪語し、安閑としたムードでは有事の際に全く動けず、助かる命も助からない可能性があります。今回の訓練で学んだことを生かしてエマルゴ訓練(災害医療机上訓練)などを実施し、病院スタッフに災害対策の意識付けをおこない、災害に強い病院づくりをしていきたいと思います。
訓練参加者:肝・胆・膵外科木谷助教、渡邉看護師、遠藤看護師、石原薬剤師
県立広島病院に到着する本院DMAT
県立広島病院(活動拠点本部)での訓練(仮想出動等)の様子