公開日 2020年08月18日
7月18日、医学部において、島根県下の医療機関に勤務する医師、看護師および臨床工学技士等を対象に「新型コロナウイルス感染症の重症例に対する人工呼吸管理およびECMO管理について」と題し、研修が実施されました。
ECMO(Extracorporeal membrane oxygenation:体外式膜型人工肺)は、機能が低下した肺の代わりに、体内に酸素を取り込む働きをします。親指ほどの太い管を太ももの血管から入れて血液を体外に抜き出し、二酸化炭素を拡散・除去し、酸素を加えてから、首付近の血管から体内に戻します。この間、患者は肺を休めることができますが、回復には2週間以上かかることもあり、治療中は24時間態勢での管理が必要です。そのため、熟練した医療チームが必要となります。
本講習会は厚生労働省の委託事業として日本COVID-19対策ECMOnet・日本呼吸療法医学会が主体となって、47都道府県で行われています。
今回は、救急医学講座 岩下 義明 教授が中心となり、ECMOnetに所属する医師・臨床工学技士からなる10名の「厚生労働省ECMOチーム等養成研修事業インストラクター」を招聘し、島根県では初めての本格的な研修会を開催しました。
看護学科棟N11講義室をメイン会場に4つの教室で、附属病院および県内病院の医療従事者25名が参加し、メーカー3社の協力を得て実機4台を用いた充実のプログラムで、朝9時~夕方5時まで研修が行われました。
午前は、「肺保護換気概論」、「腹臥位療法・実践」、「ECMO管理概論」の講義があり、基礎知識を深めました。午後からは、グループに分かれ、講義・実習のパターンを繰り返し、「サーキットのチェック」、「ウオータートレーニング」で手技の定着を図り、シミュレータを使用して、シナリオに基づきECMO管理の実践を行いました。
参加者は業務中と変わらぬ真剣な面持ちで、シミュレータに気管挿入したり、チームで声を掛け合いながらECMOの操作法と管理の仕方を習得しました。
新型コロナの重症患者さんが多く入院された場合、多職種で対応する必要があります。シミュレーションやECMO管理の全体が把握できていれば、同治療を有効かつ安全に実施可能です。今回はどの職種の参加者にとっても大変有意義な研修会となりました。
講義の様子(ECMO緊急停止時の対応)
ウォータードリル
インストラクターからのシナリオ説明
気管挿入の様子
実機を用いたシミュレーション
ECMO操作の様子