マイクロ波子宮内膜アブレーション(焼灼術)の先進医療が認可

公開日 2009年06月23日

(平成21年6月23日:報道発表)

産科婦人科 宮﨑 康二 教授 ・ 青木 昭和 准教授 ・ 中山 健太郎 講師

 従来の過多月経の代表的な治療方法のうち、子宮摘出手術は患者さんの負担が大きく、ホルモン療法は薬効が切れれば効果も見込めなくなるなど、患者さんにとって必ずしも好ましいものではありませんでした。近年、治療時間約30分で、お腹を切らずにする治療で、負担が小さいにも関わらず持続的な効果が見込める、子宮内膜だけを取り去るというマイクロ波子宮内膜アブレーションと呼ばれる新しい治療方法が確立されました。過多月経のみならず更年期の異常大出血にも効果があります。本院は、この治療方法について厚生労働省の承認を受けて先進医療として実施していますが、日本で4番目の認可施設であり、中国、四国、九州地方では唯一の医療機関です。 
 過多月経とは月経時の出血が多いために健康を損なっている状態です。多量の出血は貧血を引き起こし、動悸や立ちくらみを引き起こします。月経出血のたびに仕事が出来ない、衣服や寝具を汚してしまうような状態が繰り返され、生活の質が著しく低下する事があります。これまで、過多月経の症例で保存的治療(薬物療法)が困難になった場合は、開腹・膣式・腹腔鏡により子宮摘出手術が行われてきましたが、一定の手術侵襲と術中・術後合併症がありました。マイクロ波子宮内膜アブレーション治療は、経膣的に挿入したマイクロ波アプリケーターによって、子宮内膜を焼灼します。安全性が高く、術後合併症も少なく、お腹を切らずにすみます。医療費も子宮摘出術に比べて低額であり、出血の減少が図れることから、血液凝固異常のある患者の過多月経も、治療することができます。
 2泊3日の入院で治療可能で、退院後は、すぐに普通の生活が可能です。但し、先進医療は保険適用外であり、入院料等を含めて15~16万円程度の費用が必要です。また、妊娠希望の方には適応できません。
 マイクロ波子宮内膜アブレーションは子宮摘出術の代替療法として、短時間に安全に実施できる治療法です。閉経までの5-10年を子宮摘出が嫌なために、十分満足できない状態を我慢して過ごしている患者さんは多いと考えられています。しかし、その多くはマイクロ波治療によって子宮を温存した状態で過多月経を治療できるのです。

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