公開日 2014年04月03日
(平成26年4月:最新治療)
乳腺・内分泌外科 百留 美樹
平成25年7月にブレストインプラント(シリコンゲル充填人工乳房)による乳がん術後の乳房再建手術が保険適用 となり、加えて乳房再建用ティッシュ・エキスパンダー(組織拡張器)も保険適用となりました。エキスパンダーは組 織を拡張させるためのもので、これを一定期間、乳房皮下や大胸筋下に埋め込むことで、その後のインプラント挿入 が容易になります。これまで経済的負担から乳房再建手術をあきらめていた患者さんにとって、これは大きな朗報 であり、乳房再建手術が乳がん治療の一環として認められたことは、乳がん治療の1つの節目になると思います。
しかし、保険適用の対象となるためにはいくつかの制約があります。その一つは、実施施設認定を受けた医療機関のみでしか保険適用の乳房再建手術をうけることができないということです。日本乳房オンコプラスティックサージャリー学会主催の講習会を受講した乳腺専門医と形成外科専門医の双方が勤務する医療機関であることが認定の条件となります。当院は平成26年2月に実施施設認定を取得することができました。もう一つは、保険適用となるインプラントとエキスパンダーの種類が限られているということです。インプラントはナトレル®ブレスト・インプラント(ラウンド型)とナトレル®R410ブレスト・インプラント(アナトミカル型)の2種類が保険適用となっています。アナトミカル型はしずくの形をしており、ラウンド型と比較しより自然な形状です。エキスパンダーはナトレル®133ティッシュ・エキスパンダーのみが保険適用となっています。
乳がんは女性が患うがんの中で最も多いがんであり、日本では毎年約6万人の方が乳がんと診断され、そのほとんどの方が手術を受けることになります。そのうち乳房温存手術を受ける方が7割、乳房切除手術を受ける方が3割といわれています。乳房切除手術を受けた患者さんに、インプラントによる乳房再建手術の選択肢を提供できるようになったことは、当院にとって大きな前進です。これを機に更に患者さんのニーズに沿った医療を推進していきたいと思っております。
(写真はアラガン・ジャパン(株)ホームページより転載)
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