ロボット支援前立腺全摘除術を始めました!

公開日 2013年01月01日

(平成25年1月:最新治療)

泌尿器科  椎名 浩昭・安本 博晃

  島根大学附属病院では11月19日から手術支援ロボット「ダ・ヴィンチ」を用いた前立腺全摘除術を開始しました。現在週1日のペースでロボット支援前立腺全摘除術を行っており、経過はきわめて良好です。島根大学医学部附属病院でのロボット支援手術システム「ダ・ヴィンチ」の導入は井川病院長の多大なるご尽力の賜物であり、この場をかりて厚く御礼を申し上げます。 

 さて、現時点でロボット手術に対して保険収載があるのは前立腺全摘除術のみですので、当科が中心となってロボット手術を行っています。ロボット手術と言ってもロボットが勝手に手術をする訳ではなく、操作するのは人間であります。低侵襲な鏡視下手術の特徴に加えて、従来不可能とされていた角度からの視野の確保や細密な鉗子の動きを可能にしたのが「ダ・ヴィンチ」です。従って、ロボット手術を行うにあたっては認定が必要となり、現在当科で認定された医師は椎名浩昭と安本博晃の2名ですが、今後は若い先生方にも積極的に認定を取得して頂くようにしています。 

 高額なダ・ヴィンチの導入の利点は何か?すなわちロボット支援手術の利点は何か?これが議論の対象となるのは至極当然でございます。前立腺全摘除に関しては1)傷が小さい、2)出血量が少ない、3)尿禁制あるいは勃起機能など神経機能への影響が少ない、4)確実な尿道膀胱吻合が可能である、5)術後の回復が早いなどが上げられます。すなわち低侵襲手術の代表でありますので、術後に良好なQoLが維持されることになります。さらに、ロボット手術では手術室のモニターにリアルタイムに手術の3D画像を映し出しており、1)チームとして情報を共有できる、2)より詳細な手術内容をムとして情報を共有できる、2)より詳細な手術内容を学生あるいは医療スタッフに教示できる、などの利点もございます。今後は、泌尿器科的には腎部分切除や膀胱全摘除術などへの応用も可能ですし、婦人科、外科、呼吸器外科、循環器外科、耳鼻咽喉科領域の手術への応用が期待されます。また、今年3月までにはダ・ヴィンチシステムのシミュレータがクリニカルスキルアップセンターに設置される予定ですので、教育面からも更なる発展性があるものと思われます。 

 泌尿器科ではロボット手術を代表とする低侵襲手術から進行期がんの集学的治療まで幅広く泌尿器科疾患に対応しており、「島根の医療は島根大学附属病院で完結」をモットーに日々研鑽を積んでおります。泌尿器疾患で悩んでおられる方がおられましたら是非とも島根大学附属病院泌尿器科を紹介して頂きますようお願い申し上げます。 

ダ・ヴィンチと記念撮影!左より井川幹夫病院長、椎名浩昭教授、安本博晃講師
<ダ・ヴィンチと記念撮影!>
左より 井川幹夫病院長、椎名浩昭教授、安本博晃講師