光トポグラフィー検査を用いたうつ症状の鑑別診断補助(先進医療)

公開日 2012年01月01日

(平成24年1月:最新治療)

精神科神経科  宮岡 剛・堀口 淳 

 この度、当院は「光トポグラフィー検査を用いたうつ症状の鑑別診断補助」についての先進医療実施施設として、厚生労働省より認定を受けました。この先進医療は、光トポグラフィー検査装置を用いて大脳皮質のヘモグロビン濃度を計測し、うつ状態の原因になっている精神疾患の鑑別診断を補助するものです。
 光トポグラフィー検査とは、近赤外光を用いて大脳皮質の脳活動をとらえる脳機能画像検査です。明るい部屋において、座位で検査ができるため、患者さんの自然な状態の脳機能評価を行うことができます。この客観的指標による評価で、うつ病・躁うつ病・統合失調症のいずれの可能性が高いかが、約7~8 割の正確さで示されます。ただし、この結果は確定診断ではなく、あくまで臨床症状にもとづく鑑別診断の補助として用いられます。なお、「光トポグラフィー検査を用 いたうつ症状の鑑別診断補助」は、先進医療の一つとして2009年4月に精神医療分野で初めての承認を受け、現在全国で当院を含めた13施設でのみ実施されています。
 これまでの問診を中心に行ってきた診断の補助として光トポグラフィー検査を行うことで、より正確な診断を行うことが可能になります。また、客観的なデータが出ることにより、患者さん自身が病気であることを受け入れ、積極的に治療を受けることが期待でき、家族や周囲の人も患者さんが病気であると理解できることで療養しやすい環境を整えることにも役立ちます。さらに、うつ病の早期発見・早期治療に結びつけることで、年間3万人を超える(うつ病と関わりの深い)自殺者を減らすのにも貢献できるのではないかと期待されています。